日本の伝統食、お米の神秘:栄養価と健康への影響を深く掘り下げてみませんか?栄養と歴史を探る!
粗食でも乗り越えられた日本の食のちから
近代以前より、日本人の多くはご飯と一汁一菜の食事を基本に長く健康的に生きてきました。ただお米が収穫できないで「飢饉」はありましたが、お米と一汁一菜の生活で健康を害した話はほとんどありません。
これはお米ともう一つの日本食に欠かせないパートナーのよって完全栄養食事となっていたからです。今回はそのお米の健康効果とそのパートナーとの関係についてご紹介します。
まず結論から言うと日本人の健康を維持してきたのは「玄米」と「大豆」です。日本食の基本はやはり「ご飯」と「醤油」「味噌」「豆腐」「納豆」などなど様々な大豆加工品があります。その組み合わせによって、日本人は健康的に生活してきました。
お米と一緒に日本人の健康を守ってきた納豆についてのブログ「納豆の健康秘密と世界の発酵大豆食品:知っておきたい6つの効能!」
お米の力
日本の炭水化物の代表格のお米、普通に食事のことを「ご飯」と呼ぶように一番大切な食べ物です。主食になる食材は結構炭水化物が多く含まれている場合が多いですが、お米には炭水化物だけでなく様々な栄養成分があり、それによって私たちの健康を支えてくれています。
お米の栄養
お米の栄養素を多い順に書いていくと炭水化物:77.1%、水分:15.5%、たんぱく質:6.1%、脂質:0.9%、食物繊維:05%、ビタミンB1:0.08%、ビタミンB2:0.02%、残りその他となります。
- 炭水化物:筋肉や脳のエネルギー源になります。
- たんぱく質:お米にはたんぱく質の元になる9種類の必須アミノ酸が全て含まれています。ただ1つリジンというアミノ酸が少ないのですが、それを補完する方法を後ほどご紹介します。
- 脂質:炭水化物同様に身体や脳を動かす為のエネルギー源ですが、特定条件でしか進んで使われず体に蓄えられる傾向があります。ただお米は非常に低脂質なのでお米で脂質過多になる心配はほとんどありません。(調理方法にもよります)
- 食物繊維:腸内の善玉菌のエサになります。食物繊維を摂ることによって腸内環境が改善します。
- ビタミンB1:糖質をエネルギーに変換する酵素として働きます。ビタミンB1が十分にあると糖質よりエネルギーを作り出せ疲労の回復に効果が期待できます。
- ビタミンB2:B1が糖質のエネルギー代謝を進めるのに対し、B2は脂質をエネルギーに変換することをメインに行います(他に糖質やたんぱく質の代謝も行います)
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 食物繊維 | 炭水化物 |
156kcal | 60g | 2.5g | 0.3g | 1.5g | 37.1g |
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
1mg | 29mg | 3mg | 7mg | 34mg | 0.1mg |
亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 | セレン | クロム |
0.6mg | 0.1mg | 0.35mg | 0㎍ | 1㎍ | 0㎍ |
モリブデン | ビタミンA | βーカロテン | β−クリプトキサンチン | ビタミンD | ビタミンE |
30㎍ | 0㎍ | 0㎍ | 0㎍ | 0㎍ | Trmg |
ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 |
0㎍ | 0.02mg | 0.01mg | 0.2mg | 0.02mg | 0㎍ |
葉酸 | パンテトン酸 | ビオチン | ビタミンC | 食塩相当量 | |
3㎍ | 0.25mg | 0.5㎍ | 0mg | 0.2.g |
うるち米 栄養成分100g当たり【出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】より
足らない必須アミノ酸「リジン」は大豆で補給
お米の栄養素で足らなかった必須アミノ酸の「リジン」ですが実は大豆をはじめ様々な豆類に多く含まれています。その為、日本食には「醤油」や「味噌」の様な調味料にも「豆腐」や「納豆」の様な加工食品も「大豆」を原材料としてきました。また大豆にはお米に含まれていない「カルシウム」も豊富に含まれていて健康な骨格維持に役立っています。
もちろん、お米と大豆だけですと、ビタミンCやビタミンDが不足するので、一汁一菜の汁物にビタミンDが豊富なキノコ類を使い、一菜で野菜からビタミンCを補給し、たまに魚などの動物性たんぱく質を食べる事で、昔の日本人は健康を維持してきました。
江戸患い(脚気)をもたらしたビタミンB不足
最初にところで「お米と一汁一菜の食生活で健康を害した話はほとんどありません」と書いた理由の例外を紹介しましょう。
それは「江戸患い=脚気」です。脚気の症状は「倦怠感」「食欲不振」「手足のしびれやむくみ」などで、脚気になると足元がおぼつかなくなり、寝込んだり、重篤になると亡くなってしまう場合もあります。これが実は江戸に出てくる商人や武士が掛かり、国元に戻ると治ることから「江戸患い」と呼ばれました。
この原因は、実は江戸時代になりお米が大量に江戸に入ってくるようになるのと、精米技術が進歩するに連れて、それまで身分の高い人しか食べられなかった「白米」をみんなが食べられるようになったからです。
白米は玄米の胚芽を削って作られますが、その胚芽に含まれているビタミンB1が不足することによって「江戸患い=脚気」になってしまいます。
玄米は白米よりも、およそ5倍のビタミンB1があります。それなのでその当時、国元に帰ると脚気が治るのは国元ではまだ白米ではなく玄米を食べていからビタミンB1が補給できて脚気が治癒したからでした。
ただ、現代において白米の他にも様々な食材を食べる事によって、脚気になる可能性は非常に低いです。しかし何かに偏った食生活を摂っていると、脚気に限らず栄養バランスの崩れからの病気もあり得ますので、過去からの教訓と思い、バランスの良い食生活を心掛けるようにしましょう。
新米の季節
9月になると南方から少しずつ新米の便りが届いてきています。新米の、みずみずしく香り高くふっくらした味わいは、少しのご飯のお供があるだけで日本人のご馳走になります。そんな美味しい新米ですが、何故か「新人」を指す表現として使われています。なぜ新人=新米なのでしょうか?
この章では、そんな新人=新米の理由を解き明かしていきます。
余談:新人をなぜ新米というのか4つの説
2つの「新前」説
- 新前掛け:昔、商人のところに新人が入ると「新しい前掛け」を与えられたので「新前掛け」が「新前」になり「新米」となった説。
- 新前:人を表す言葉として「前」が使われていたから。例えば手前は「手の平の前で自分のこと」、男前は「男らしい人」、御前(おまえ)は「私の前だから相手の事」を指します。つまり「新前」は「新人」の意味になります。それが訛って「新米」になった説。
2つの「お米」由来説
- まっ白な白米から:まだ何色にも染まっていない意味で新人を「新米」に例えた説。
- 江戸にお米が集まったから:全国からお米が江戸に集まる様になると、それにともない江戸に仕事を求めて人が集まったから、求職してきた新人を「新米」と呼んだ説。
まとめ
日本人がなんでお米と一汁一菜で健康で長らく過ごせてこれたのは、お米に含まれる栄養素とそれに足らない栄養素を大豆由来食品と一汁一菜の具材で補ってきたからです。
もちろん、現代において、そればかりの食生活は侘しいですし、偏った食生活をしてしまうと江戸患いならぬ現代患いになってしまうかも。
美味しい「お米」を主役に、様々な食材を摂ってバランスよく食事も楽しんでみましょう。
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