ちりめん生地と「ちりめんじゃこ」の関係は?その名前の由来と健康効果5選
「ちりめんじゃこ」と「ちりめん(生地)」
2011年まで続いた長寿時代劇番組「水戸黄門」の話中の中で、水戸黄門こと水戸光圀公が、役人と物語の被害者役が揉めている所に、口を突っ込むと役人から「お前はどこのだれだ?」と問われ「私は越後のちりめん問屋の隠居でございます」と自己紹介して物語に介入していくという冒頭が定番でありました。子供の頃よく番組を見ながら「ちりめん(じゃこ)の問屋さん???」なんて不思議に思っていました。
もちろんこの「ちりめん(縮緬)」は海産物のちりめんじゃことは異なり、縦糸に撚りをかけない糸を、横糸には撚りをかけた糸を使うことに寄って、生地の表面に特徴的な「シボ」と呼ばれる凹凸を出した織物の総称で、和服生地の代表的な絹織物です。洋生地では「クレープ織」とも呼ばれています。江戸時代初期から絹を平織りして作られ、染生地の高級品として扱われていたそうです。
実は「ちりめんじゃこ」の名前の由来は、この「ちりめん(縮緬)」だったりします。ちりめんの細かいシボ(凸凹)の様に見える雑魚から「縮緬雑魚(ちりめんじゃこ)」となりました。この呼び方もちりめん(縮緬)を作り出した「大阪 堺」辺りや、ちりめん(縮緬)の一大産地だった京都など関西から始まったと言われます。
ちりめん(縮緬)の着物
「ちりめんじゃこ」と「しらす」の違いと「似たまったく別の魚」
ちりめんじゃことは
関西が「ちりめんじゃこ」関東が「しらす干し」と呼んでいる「カタクチイワシ・ウルメイワシ・マイワシ」の稚魚を加工したものです。
現在ではその加工進捗状況に応じて名称が変わっている場合が多く以下の通りです。
- 生しらす:水揚げ後、無加工で出回る。鮮度の劣化が激しいので賞味期限が非常に短く1日程度と言われる。
- 釜揚げしらす:水揚げ直後に釜茹でしてもの。熱処理によって賞味期間が少し長くなるになる。
- しらす干し:釜揚げしらすを短期間干したもの。一般的に「しらす」として販売されている。賞味期限は中程度。
- ちりめんじゃこ:しらす干しを更に乾燥させたもの。色合い風味硬さが増す。名称も地域によって「ちりめん」「じゃこ」「おじゃこ」「かちり」など様々ある。賞味期限は長め。
なお、生しらすと見た目が似ている「シラウオ」と「シロウオ」がありますが、実は「ちりめんじゃこ」「シラウオ」「シロウオ」はそれぞれ別の魚だったりします。
シラウオ(白魚)とは
キュウリウオ目シラウオ科の魚。北海道、青森、秋田、茨城で漁が行われ、昔は隅田川でも採れ、江戸っ子に大変好まれ、真っ白な見た目から「野良作業をしない真っ白な殿様の手のようだ」と「殿様魚」とも呼ばれていたそうです。
漁獲後、すぐに弱り死んでしまうので、生食は珍しく寿司だねになったりもしますが、卵とじや釜揚げ、かき揚げ天ぷらなどにして食べらえることが多い魚です。
シロウオ(素魚)とは
スズキ目ハゼ科の魚。北海道南部から九州南部まで生息しています。たまに見る「シロウオの踊り食い」はこちらのシロウオ(素魚)になります。
それぞれシラウオ(白魚)が10cm前後、シロウオ(素魚)が4cm前後ですが、稚魚である「ちりめんじゃこ」と異なり、こちらはどちらも成魚。また「ちりめんじゃこ」は産地によって旬の時期が異なりますが年中採れるのに対し、シラウオ(白魚)とシロウオ(素魚)の旬は2~4月となっていてちりめんじゃこと異なります。
昔は色々な小魚が混ざっていたのに?
以前は「えび」「いか」「たこ」「タチウオ」などなど様々な稚魚も一緒に干された「無選別しらす干し」が多く出回っていましたが、最近は「イワシ類」のみ選別された「選別しらす干し」が主流になっています。
これは見た目の良さがあってお客様が手に取りやすいっという面と、エビやカニなどの「甲殻類」のアレルギーの方に配慮されて選別しらすが主流になりました。
ただ最近は、水産資源を守る観点から「無選別しらす干し」も販売されていることも増えてきています。甲殻類のアレルギーがある方(もしくは家族にアレルギーがある方)は、その点も気を付けてお選びください。
ちりめんじゃこの栄養素と健康効果5選
ちりめんじゃこはすごく小さな見た目ですが、健康維持に重要な栄養素を含みます。この章ではちりめんじゃこの健康効果についてご紹介致します。
身体作り
身体づくりの基本になる「たんぱく質」がちりめんじゃこ100g当たり20~40g(乾燥度合いによって異なる)と非常に豊富に含まれています。またちりめんじゃこに含まれる「マグネシウム」にはエネルギー代謝を促進したり、筋肉生成に効果が期待されています。
丈夫な骨格
実は100g当たり520mgとちりめんじゃこには豊富にカルシウムが含まれています。これはカルシウム豊富な野菜で有名な小松菜(100g当たり170mg)の約3倍の量になります。またちりめんじゃこにはカルシウムが骨に定着するのを助けるビタミンDも豊富に含まれている為、丈夫な骨格を育むのに打ってつけの食材になります。
こむら返り予防
ちりめんじゃこには「カルシウム」と「マグネシウム」が豊富に含まれています。カルシウムには筋肉を収縮に作用し、マグネシウムは筋肉の弛緩に作用します。過剰なマグネシウムは腎臓経由で尿として排出されますが、ストレスや加齢などによって、より多くのマグネシウムが排出されてしまう場合があります。マグネシウムには筋肉をゆるめる効果があるので、過剰に排出されてしまうと「足がつる」などのこむら返りの症状が出てしまいます。ちりめんじゃこのマグネシウム摂取によってある程度のこむら返り予防効果が期待できます。
血液サラサラ
ちりめんじゃこに含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)はオメガ3脂肪酸の一種で血液をサラサラにして血栓の予防や、高血圧の予防、動脈硬化や心筋梗塞の予防にも効果が期待できます。
健康な脳
EPA同様のオメガ3脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)もちりめんじゃこには豊富に含まれています。DHAは脳の成長促進や認知症の予防、またEPA同様に動脈硬化の予防にも効果が期待出来ます。
ちりめんじゃこの健康効果の特徴
- ちりめんじゃこに豊富に含まれるたんぱく質。
- 骨を丈夫にするカルシウムとビタミンDもちりめんじゃこには豊富。
- ちりめんじゃこには足つり予防のマグネシウムもたくさん。
- ちりめんじゃこに含まれるオメガ3脂肪酸で健康な脳を。
様々な健康効果がある「ちりめんじゃこ」ですが非常に多くの塩分が含まれています。塩分を過剰に摂取してしまうと体内のナトリウム濃度が高まり、それを薄める為に、血管内に水分を多く取り込むので「高血圧」になってしまいます。ナトリウムを排出して血圧を下げてくれる「カリウム」もちりめんじゃこには含まれていますが、それ以上に塩分が多いので、食べ過ぎには気を付けて1日大さじ1杯程度を目安に取る様にしましょう。
まとめ
ちりめんじゃこは江戸時代から愛されていた着物生地「ちりめん(縮緬)」の凹凸と魚の細かい見た目から「ちりめんじゃこ(縮緬雑魚)」と名付けられました。
ただその細やかな見た目に反して「身体づくり」「丈夫な骨格」「こむら返り予防」「血液サラサラ」「健康な脳」と大きな5つの効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています。
ただし、ちりめんじゃこには塩分が多いので高血圧にならない程度に気を付けつつ、ちりめんじゃこを摂って健康に長生きしましょう。
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