カツオを選ぶ時のポイントは?見極める方法と、その健康パワーと薬味の相乗効果
春の初ガツオと秋の戻りガツオ
カツオは季節によって住む場所を変える回遊魚、春先は黒潮に乗ってエサを求めて北上し、秋口に水温低下をきっかけに南下してきます。回遊しながら、たっぷり栄養栄養を蓄えたカツオには、鉄分やたんぱく質、ビタミン類が豊富に含まれ、身体づくりにも健康維持にも重要な魚です。
今回はそんなカツオについて「初ガツオ」と「戻りガツオ」の違いと、カツオの代表的調理法の「たたき」について、そしてカツオの健康成分についての情報を、この記事でご紹介します。
初ガツオ
3月からエサを求めて南から北上してきたカツオの呼び名です。江戸で大人気だった「初ガツオ」、江戸っ子は「初物食べると75日寿命が延びる」と縁起を担いでいて、その中でも初かつおは一番人気、1尾に2か月分の給料くらいの価格が付いたこともあるそうです。
3月に九州南部、5月には関東近辺まで北上してきて、その3月から5月が初ガツオの旬と言われています。
初ガツオの特徴
- 味:まだエサを求めている最中で、脂が少なくサッパリとした味わい
- 身色:鮮やかな赤
- 食感:弾力が強くプリっとした歯切れの良さ
- 旬:3~5月
3月の頃はまだエサをそんなに食べていないので身に脂が乗っておらずサッパリしており、5月に関東へ北上してくる頃には少し脂がついていて濃厚なうま味になっています。採れる時期によって味わいが変わるのも「初ガツオ」の魅力の一つです。
戻りガツオ
8月下旬ぐらいまで北上を続けたカツオは三陸沖で温かい黒潮と冷たい親潮が交わり、水温が下がるのを切っ掛けに南下して九州へと戻っていきます。なお三陸とは明治時代の地名である「陸奥」「陸中」「陸前」(現在の青森県・岩手県・宮城県の一部)の3つの「陸」の総称で、三陸沖はその3つの「陸(青森・岩手・宮城)」の太平洋側海域のことです。
戻りガツオは北上中にたっぷりエサを食べ、また季節が夏から秋・冬に向かうに連れて水温が低下するのに対抗する為、脂がたっぷり蓄えらえれていて濃厚なうま味が特徴です。
戻りガツオの特徴
- 味:北上中に蓄えらえれた脂によって、濃厚なうま味があり、「トロかつお」とも呼ばれます。
- 身色:濃い赤色
- 食感:脂が多く乗っているのでねっとりした舌ざわりで、脂のうま味が口に広がります
- 旬:8~10月
なお、カツオはどの部位の身であるかで味が異なります。人間同様にお腹側に脂が乗りやすく腹側の身は濃厚な味わいに、背側の身は脂が少なくてさっぱりとした味わい。どちらが美味しいかは個人の好みで別れるので、濃厚なのが好きな方は脂が多くなる「腹側」、脂は控えめでサッパリしたのがお好みなら「背側」と覚えてください。
調理法の「たたき」とは?
カツオの調理法として主流なのは「お刺身」と「たたき」。ただ「たたき」という調理法実は2種類あって「刻みたたき」と「炙りたたき」。どちらの料理も「たたき」と呼ばれます。
刻みたたき
主に鯵(アジ)で使われる調理法で、ネギや生姜や大葉などの薬味を鯵の身と一緒に包丁で叩いて混ぜ合わせて作り醤油をつけて食べます。魚肉と薬味を包丁で叩いて混ぜることからつけられた調理名です。
似た料理で千葉県南安房地域の郷土料理の「なめろう」。鰺のたたきを作る際に味噌も入れて味付けしてしまう漁師料理。揺れる船上だと液体の醤油はこぼれてしまうので味噌が使われたそうで、名前の由来は「美味しさのあまり皿まで舐める」から。
カツオのたたき
捌いたカツオの表面を火で炙り、スライスした物をにんにくや生姜、ネギを添えてポン酢味わうのが一般的ですが、その発祥には所説あります。
漁師料理から
カツオはサバ科の魚の為、鯖同様に鮮度が落ちるのが早い魚です。その為、船上でカツオに塩をまぶした「塩たたき」という高知の漁師料理が生まれました。この塩たたきは塩などの調味料が高価だった時代に、少量の塩を手や包丁の腹で叩きつけてカツオの身にしみ込むように味付けすることより「たたき」と呼ばれたという説です。
生魚でないと言い張る為
慶長6年(1601年)に土佐藩藩主になった山内一豊が、領民の漁師がカツオを生のまま食べているのを見て食中毒を心配し、「カツオは生で食べてはいけない」というお触れ(現代の法律)を出しました。そこで領民はカツオを焼いて食べているなか、一部生焼けのカツオが出てしまい、試しに食べてみたら香ばしくて美味しいと評判になって「たたき」が生まれたという説。一応表面を炙っているので「生魚ではない」という言い訳もできる上に美味しいと一石二鳥の調理法と広まりました。
西洋人の真似をした
最後は、土佐に来た西洋人がクジラのステーキを作っているのを見て、カツオを使って真似てみたという説です。ステーキにスライスしたにんにくを添えるのはよくあるので、もしかしたらにんにくを添えるのは海外からきた調理法かもしれません。
余談ですが、日本食で「にんにく」をほとんど使わないのは、仏教の影響です。まずは魚・肉食を禁止していた特に肉との相性が良いにんにくは使われなかったからと、五葷(ニンニク・ニラ・玉ねぎ・長ネギ・らっきょう)は刺激が強く、人が本来ある「気」を崩し、欲情や暴力・煩悩を掻き立てると仏教の修業の妨げになると避けられていました。明治以前までは仏教の教えが基本で、それから文明開化で洋食が入ってきて料理にニンニクなどが使われることが増えましたが、諸外国よりは少ないです。
カツオの健康パワー
それでは食べて美味しいカツオの健康効果をご紹介します。
カツオの栄養効果
ヘム鉄で貧血予防
鉄分といえばレバーが思い出されますが、カツオにも吸収効率の良い動物性鉄分であるヘム鉄が豊富に含まれています。ヘム鉄はほうれん草などの鉄分豊富な植物に含まれる非ヘム鉄よりも吸収率が高く、植物の非ヘム鉄よりも、カツオなどの動物性鉄分ヘム鉄は約3~6倍、人体に吸収されやすくなっています。また赤血球を作るのを助けるビタミンB12も豊富に含まれており、相乗効果で貧血を予防してくれます。この様に鉄分不足になりがちで、貧血に悩まされる女性にうれしいヘム鉄が、かつおにはたくさん含まれています。
ただし、貧血予防にはカツオだけではなく、他の食物からもバランスよく栄養素を摂取することが大切です。
血液サラサラ効果&ダイエット効果
カツオ、特に脂肪を蓄えた戻りガツオには、必須な脂質であるオメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富です。DHAとEPAは血中のコレストロール値を下げ、善玉コレストロールを増やし血栓を作るのを予防し血液をサラサラにします。
またDHAやEPAは脳の機能を改善し、認知症を予防したり、学習能力の向上にも良い影響を与えますし、DHAやEPAは血中のコレストロールの値を下げることによって、体内の中性脂肪の蓄積を抑制&減少させる効果があり、ダイエットや肥満予防に効果も期待できます。
かつおの栄養で身体づくり
カツオに含まれるタンパク質は100g当たり25gと、たんぱく質豊富で有名な鶏むね肉とほぼ同量のタンパク質を含んでいます。また、骨にカルシウムを吸着してくれるビタミンDも含まれているので、健全な筋肉と骨格作りに必要な栄養素がカツオに豊富に含まれています。
ビタミンB群で疲労回復
カツオに多く含まれるビタミンB群が豊富でその量はマグロより多いと言われています。このビタミンB群は身体のエネルギー代謝を助け疲労の回復に効果があります。またカツオにはビタミンB群の一種であるナイアシンが魚の中でトップクラスの含有量を誇っていて、そのナイアシンの効果で細胞の代謝も活発になるので、全身の細胞を若々しく保つことにも効果が期待できます。
ビタミンB群は水に溶ける性質があるので、表面を炙る「たたき」は栄養の流出を防げる良い調理法と言えます。
薬味の相乗効果
カツオを食べる時には薬味として様々な野菜を付け合わせに使って一緒に召し上がると思います。その薬味にもそれぞれ意味があり、その組み合わせによって様々な健康効果のアップが期待できます。この章ではその効果ごとの概要をご紹介致します。
食中毒予防
まず薬味の役割として食中毒を予防する殺菌効果があります。カツオの薬味と言えばにんにくと生姜ですが、にんにくを刻んだりすりおろしたりすると発生する「アリシン」や、生姜に含まれる「ジンゲロン」には強力な抗菌・殺菌効果があり、薬味として入れることに寄って安全にカツオのたたきを楽しむ事ができます。
食欲増進
にんにくの「アリシン」生姜の「シオネール」の匂いは唾液の分泌を促進し、食欲を増進する効果があります。また大葉やネギの香りでサバ科であるカツオの臭みを中和してくれる効果によっても食欲が上がります。
身体づくり
にんにくに含まれる「ビタミンB6」、生姜に含まれる「ジンジベイン」という酵素にはたんぱく質を分解して吸収しやすくしてくれます。これによりカツオに含まれる豊富なたんぱく質を効率よく摂取することができます。
疲労回復
にんにくに含まれる「アリシン」はカツオのビタミンB1と結合すると疲労回復を促進してくれます。にんにく・生姜両方ともに血流を改善する効果があるので、豊富なカツオの栄養がくまなく全身に行き渡る事によっても疲労が回復します。
鉄分吸収アップ
カツオのたたきで使われるポン酢の様にお酢に含まれる酢酸や、柑橘類のクエン酸によって鉄分が溶け出し、より吸収力を上げることができます。
まとめ:季節ごとのカツオの見極め方
春先の初ガツオ、秋口の戻りガツオ、それぞれに「サッパリ」と「濃厚」な違いはあれど、どちらも「美味しく」「栄養豊富」な食材です。
せっかく食べるのであれば鮮度が良い物を選びましょう。
初ガツオの選ぶポイント
- 身の赤みが鮮やか
- 血合いがくすんでいない
- 魚から出る赤い水分(ドリップ)が出ていない
戻りガツオの選ぶポイント
- 皮目が白い物(脂が乗っている)
- 身が鮮やかなピンク色の物(脂の白が混じってきれいなピンク色をします)
どちらのかつおにも共通で言えることとして「表面が虹色に光っているものは鮮度が落ちて、溶け出した脂が光っている」ので避けましょう。
いかがでしょうか、栄養満点で美味しくリーズナブルなカツオ、鮮度を見極めるコツを使って良いカツオを選び、薬味を活かして効率よく栄養をいただき、家族みんなで健康維持に役立てましょう。
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