あまり知られていない蓮根の旬

　蓮根(レンコン)は１年中いつでもスーパーや八百屋さんに並んでいますが、実は秋から初春にかけてが旬と言われています(収穫地によって異なる)。

　例年、新蓮根は６月くらいから出回るようになりシャキシャキで歯触りが柔らかい反面に水分が多く傷みやすいという特徴があります。

　通常の蓮根は、秋が始まり出す９月後半頃まで蓮田(レンコンの田んぼ)ですくすく成長させます。その後、しばらく田んぼで追熟させることに寄って、蓮根のでんぷん質を糖に変換させます。その為、秋からの蓮根は収穫した時期に寄って風味や甘みが異なります。

蓮根の穴

　江戸の小話にある蓮根を知らない庄屋の息子さんが、招待された食事会で蓮根を出された時に一緒にいた人に”知らない”と思われたくない見栄の為に知ったかぶりしたのに、「これまたわざわざこんなにも穴を開けて、手間のかかった料理だね」と言ってしまい知らないのがバレてしまうという話があります。

　ご存じの通り、蓮根の穴は自然にできている物ですが、実は田んぼ(水中)で育つ蓮が地上部から根に酸素を送る為の管なのだそうです。ただ、日本人に取っては「先が見通せる」と縁起を担いで、蓮根を縁起物にしています。

美容効果の栄養素豊富

　蓮根、その名の通り蓮の根菜です。でんぷんや糖質が多く含まれる美味しい野菜ですが、それ以外にも美容に効果のある栄養素が豊富に含まれています。

• ビタミンC:　蓮根の１節の1/3(およそ１００g)で成人の１日の必要量の半分のビタミンCが含まれています。そのビタミンCには、抗酸化作用に寄ってダメージを受けた細胞を回復させる効果の他に、免疫の向上に効果。また特に皮膚の代謝に欠かせないビタミンCなので、皮膚代謝の為にも積極的に摂って皮膚を若々しく新陳代謝していきましょう。
• 食物繊維：　蓮根には100ｇあたり不溶性食物繊維(1.8g)と水溶性食物繊維(0.2ｇ)と、両方の食物繊維が豊富に含まれています。不溶性食物繊維は、便のカサを増やして排便を促進し、水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整えます。腸内環境が整うことで、腸から吸収される栄養素の効率が上がり、免疫力が高まります。また、便秘の解消にも効果的です。
• カリウム：　体内に取り込まれた塩分(Nacl)により体内のナトリウム(Na)濃度が濃くなると水分を多く血液内に取り込むことにより、血圧(血管内圧力)を上昇させます。カリウムを補給すると、その原因になっているナトリウムを排出するのを助け、結果、血管内の濃度が下がり、余計な水分を排出して血圧が下がります。体内の余計な水分を排出することに寄って「むくみ」の改善も期待できます。
• タンニン：　ポリフェノールの一種で、蓮根を切ると切り口が黒っぽく変化する原因でもあります。非常に有効な抗酸化作用があり、細胞の酸化リスクを軽減して若々しく維持する効果が期待できます。

　この様に有用な栄養素が豊富に含まれている蓮根ですが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の言葉通り、摂りすぎ注意の食材でもあります。食物繊維を過剰摂取するとお腹を壊すリスクもありますし、タンニンは鉄分と反応して、そのまま体外に排出させてしまい、結果「貧血」の原因にもなり得ますので、健康に良いからと言って過剰に摂取することは控えましょう。

シャキシャキorホクホク

　蓮根は下ごしらえに寄って、その食感が異なる面白い特徴もあります。

• ホクホク：　蓮根の皮をピーラーなどで剥き、作る料理に合わせたサイズに切り分けたら、タンニンが酸化して黒ずまない様に、素早く水にさらして５分ほどアクを抜きます。切る時も繊維を生かして縦に切れば更にホクホク感が増します。

• シャキシャキ：　さらす水を「酢水」に変えるだけ、だいたい3％くらいの酢水にさらしましょう。また切る時も繊維を断ち切るように薄く切るとシャキシャキ感が増します。

　ビタミンＣは水に溶けだす水溶性の性質がありますので、どちらの時も抜け出し過ぎないように過剰にさらさないように気を付けましょう。

蓮根まとめ

　蓮根は一見単純な野菜のようですが、実はその奥深い特性と栄養価には多くの驚きがあります。秋から初春にかけてが旬のこの野菜は、季節によって異なる風味と甘みを持ち、料理によって変化する食感が特徴です。シャキシャキとした食感からホクホクとした質感まで、下ごしらえの仕方一つで変わります。また、ビタミンCや食物繊維、カリウム、タンニンなどの豊富な栄養素が、美容と健康の両方に役立ちます。しかし、どんなに良い食材でも、過剰摂取は避けるべきです。蓮根を上手に使って、日々の食生活にバランスの良い栄養を取り入れましょう。この記事を通じて、蓮根の持つ隠された価値と、その最適な利用方法について、あなたも新たな発見があったのではないでしょうか？