太刀魚(タチウオ)の秘密と栄養満点の魅力:輝く魚の旬の味覚、夏から秋にかけての美味しさと健康効果とは?
タチウオの紹介
スズキ目サバ亜目タチウオ科タチウオ属のお魚、主に和歌山県から愛媛県、大分県、長崎県で漁獲されます。タチウオは1年を通して美味しい魚ですが、これからの夏から秋に向けて更に美味しくなると言われています。
タチウオは「太刀魚」と漢字が当てられている通り、見た目が刀の様に細長く(最大1.5メートル近くにまでなる)、ウロコが無い代わりに「グアニン」という銀色の結晶で体が覆われていて正に太刀のような見た目です。
またタチウオの名前の由来には昔の合戦が関係するという話もあります。
鎌倉時代後期の1333年(元弘3年)5月の「分倍河原の戦い」において、鎌倉幕府に攻め入ろうとしていた武将「新田義貞」率いる軍勢が、満潮の為に攻め込めないいた所、義貞が持っていた太刀を海に捧げると龍神がそれに応えて、みるみる内に干潮にして、その後、鎌倉幕府を率いる北条氏を追い詰め、鎌倉幕府を滅亡させた。その時の海に奉じられた「太刀」が「タチウオ」になったという逸話があります。
また別説としては、タチウオは立って泳ぐ魚なので「立ち魚」と、その刀みたいな形が相まって「タチウオ」と呼ばれているというのもあります。
関西ではポピュラー
関西圏より西の地域では、いたってポピュラーな食材で、塩焼きや刺身、天ぷら煮つけとオールマイティにどんな料理にも合います。骨からの実離れもよく、子供でも食べやすいという特徴があります。ただ反面、俗に縁側と呼ばれる背びれ部分と腹部分に小骨が多いのも特徴なので、そこを気を付けて召し上がるか、見た目は悪くなってしまいますが、その部分を取り除いて召し上がると良いです。
関東ではまだこれから
関西ではポピュラーな「タチウオ」ですが、これまでは関東圏ではあまりスーパーや市場でも出回っていないお魚だったりします。その理由として2000年(平成12年)以前は、伊豆半島より西でしか取れず、関東の食文化に入ってこなかったというのが原因だと思われます。
ただ最近は温暖化によるためか、北海道から九州まで日本ほぼ全域に生息しており、各漁港でも水揚げされていますし、釣り人からも人気の魚なので、今後全国的にタチウオ料理が広まっていくでしょう。
太刀魚の栄養素
タチウオは淡白なイメージがありますが、実は脂質の多い身をしています。その為、脂質に溶け込んだ脂溶性の栄養成分が非常に豊富です。
それぞれの栄養素による健康効果についてご紹介していきましょう。
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 食物繊維 | 炭水化物 |
238kcal | 61.6g | 16.5g | 20.9g | 0g | Trg |
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
88mg | 290mg | 12mg | 29mg | 180mg | 0.2mg |
亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 | セレン | クロム |
0.5mg | 0.02mg | 0.02mg | -㎍ | -㎍ | -㎍ |
モリブデン | ビタミンA | βーカロテン | β−クリプトキサンチン | ビタミンD | ビタミンE |
-㎍ | 52㎍ | 0㎍ | 0㎍ | 14㎍ | 1.2mg |
ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 |
0㎍ | 0.01mg | 0.07mg | 3.9mg | 0.2mg | 0.9㎍ |
葉酸 | パンテトン酸 | ビオチン | ビタミンC | 食塩相当量 | |
2㎍ | 0.56mg | -㎍ | 1mg | 0.2.g |
たちうお 栄養成分100g当たり【出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】より
血液サラサラ効果
タチウオに含まれる健康に良い脂質のオメガ脂肪酸の代表格であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)には血液をサラサラにしてくれるだけでなく、過剰にあると動脈硬化などの原因になる悪玉コレストロール(LDLコレストロール)を減らしてくれる効果があります。これにより高血圧の改善だけでなく、動脈硬化などの循環器系疾患の予防が期待されます。
また、これらのEPAやDHAは、脳の発達や認知機能の維持にも効果がるとされています。
老化防止効果
タチウオに含まれている、それぞれ脂肪に溶け込んでいる脂溶性ビタミン、ビタミンAとビタミンEには非常に強い抗酸化作用があります。
- ビタミンA:健全な粘膜を作るのを助け免疫機能の改善にも効果が期待されます。また暗い場所での視野を維持する細胞のを生成を助ける効果があります。
- ビタミンE:非常に強い抗酸化効果があり細胞の酸化を予防してくれます。またDHAなどと同様に悪玉コレストロールを下げてくれて動脈硬化なども予防してくれます。
エネルギーの生成効率アップ
タチウオに含まれているビタミンB群の栄養素であるナイアシンは、糖質、脂質、たんぱく質をエネルギーに変える為の手助けをしてくれる補酵素です。このナイアシンがあるお陰で摂取した成分を効率よくエネルギーに変換できて元気に活動することが可能になります。
またDNAの修復や合成、お酒を摂取した際に体内でアルコールを分解して発生する毒素のアセトアルデヒドの分解の手助けもしています。
ナイアシンは水溶性の栄養成分の為、過剰に摂取しても尿として体内に排出されるので、タチウオなどの食べ物から摂取する分には過剰になる心配はありません。ただし、ナイアシンは1型糖尿病や脂質異常症(高脂血症)の治療薬として使われることもあるので、それらを服用されている方は、注意して食べるようにしてください。
健康な骨格を作る
骨と言えばカルシウムですが、このカルシウムを効率よく体内に取り込むのにタチウオに含まれるビタミンDは重要な栄養素と言えます。またカルシウムの吸収を高めるのにビタミンCも大きく良い影響を与えます。この為、タチウオの塩焼きなどを召し上がる際にはビタミンCが豊富なレモンなどと一緒に食べる事をお奨めします。
タチウオまとめ
太刀魚は和歌山県から愛媛県、大分県、長崎県でよく漁獲され、一年中美味しいが特に夏から秋にかけての味はさらに上質になるとされています。
この魚は細長い刀のような形状をしており、銀色の結晶で覆われていることが特徴です。伝説によると、太刀を海に捧げたことや、その泳ぐ姿から「タチウオ」と名付けられたとされます。
料理の面では、関西地方を中心に多くの料理法で用いられ、その美味しさが高く評価されています。一方で、関東地方ではまだあまり知られていないが、最近では日本全域でその人気が広がっています。
タチウオの栄養面では、オメガ3脂肪酸、ビタミンA、D、E、ナイアシンが豊富で、「血液サラサラ」「老化防止」「エネルギー効率アップ」「丈夫な骨格」など様々な健康に良いとされる成分を豊富に含みます。
太刀魚はその美味しさだけでなく、栄養価の高さからも注目されている食材です。今後は全国的に人気の魚となっていくでしょう。
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