じゃがいもの驚くべき栄養価と健康効果とは?日常に取り入れるべき理由を徹底解説
じゃがいもは、何で「ジャガ」芋?
今では、日本のどの家庭でもあるといっても過言ではない野菜「じゃがいも」。ただ、このジャガイモ、日本だけでなく世界でも広まったのは、だいぶ時間がかかった遅咲きのポピュラー野菜です。
元々、ジャガイモは南米アンデス山脈周辺で栽培されて、その地域の人々の食を支えてきた野菜でした。
それがヨーロッパに広まった最初のきっかけは1526年にフランシスコ・ピサロがスペインから持ち帰ったのが始まりと言われます。(詳しくは下のリンクよりご確認ください)
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日本に初めてきたのは、それから僅か50年後の1576年の長崎の出島で、オランダ商人が持ち込んだと言われいます。ただ、以前のブログでも書きましたが、食用として栽培が盛んになるのは、およそ200年後の1750年頃以降ですから、当時は「新大陸から持ち帰った珍しい観賞植物」という位置づけでした。
ところで、じゃがいもをオランダ語では「aardappel(アアダポゥ)」と言います。それが何故「じゃがいも」として定着したのでしょうか。
実は、このオランダ商人はジャワのジャガトラ(現:インドネシアのジャカルタ)を経由して日本の長崎にやってきました。その為「どこから来たのか」という問いに「ジャガトラから来た」と答え「ジャガトラから来た芋」なり、それが訛ってジャガイモと呼ばれる様になったと言われています。
- ジャガトラから来た芋→ジャガタラ芋→じゃが芋
実は伝来以降でどの様に日本に広まっていったかの情報はしばらくありませんでしたが、次に文献にジャガイモが出てきたのは18世紀後半でした。
18世紀前半にその当時の江戸幕府将軍 徳川吉宗によって飢饉対策として「さつまいも(甘藷)」の栽培が奨励されており、これによって温暖な地域にサツマイモが普及していましたが、寒冷な地域への適応ができませんでした。
そこで、その18世紀後半、当時交流のあったロシア人のすすめもあって、東北や北海道で、飢饉対策として栽培が始まったと言われます。
ただ、本格的に栽培が始まったのは江戸幕府が終わって明治新政府になり、その北海道開拓事業を進める為の食料としてでした。
明治39年、函館船渠会社専務取締役として北海道に渡った川田龍吉が、アメリカ産のジャガイモの品種アイリッシュ・コブラーをイギリスから輸入し、自営の農場に導入し普及を図りました。彼の爵位が「男爵」だったので、以降このじゃがいもは「男爵いも」と呼ばれ、今も愛されています。
この様に、寒冷地における飢饉対策の作物として栽培が始まった「じゃがいも」ですが、ただの食料としてだけでなく、そこに含まれる栄養は、かのインカ帝国を支えるほどでした。
今回の記事では、そんなジャガイモの健康効果を深堀していきます。
じゃがいもの栄養素の概要
じゃがいもは100g当たり59kcalと、同じく飢饉用に導入されたサツマイモの131.9kcalに比べ、非常に低カロリーです。しかし含まれるビタミンCやビタミンB1やミネラルのカリウム、食物繊維、そしてポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれています。
これらの成分は健康を維持するのに必要不可欠です。次章ではその健康効果について、それぞれ詳しく説明していきます。
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 食物繊維 | 炭水化物 |
59kcal | 79.8g | 1.8g | 0.1g | 8.9g | 17.3g |
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
1mg | 410mg | 4mg | 19mg | 47mg | 0.4mg |
亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 | セレン | クロム |
02mg | 0.09mg | 0.37mg | 1㎍ | 0㎍ | 4㎍ |
モリブデン | βーカロテン | β−クリプトキサンチン | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK |
3㎍ | 2㎍ | 0㎍ | 0㎍ | Trmg | 1㎍ |
ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 |
0.09mg | 0.03mg | 1.5mg | 0.2mg | 0㎍ | 20㎍ |
パンテトン酸 | ビオチン | ビタミンC | 食塩相当量 | ||
0.5mg | 0.4㎍ | 28mg | 0g |
じゃがいも 栄養成分100g当たり【出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】より
ビタミンCの効果とその重要性
ジャガイモには豊富なビタミンCが含まれています。ビタミンCの1日の摂取目安は100mgでその約30%が100gのジャガイモに含まれています。だいたい中サイズのジャガイモで150g前後ですので、そのジャガイモ1個で、一日の必要なビタミンCの半分弱が摂取することができます。
このビタミンCには以下のような健康に不可欠な効果があります。
- 抗酸化作用:活性酸素や紫外線など様々な体の細胞を劣化(老化)させるのに対抗する効果を発揮します。
- 免疫力向上:ビタミンCは免疫細胞を活性化させてくれます。これにより体内に侵入してきたウィルスなどに対抗することが期待できます。
- 美肌効果:ビタミンCはメラニンの生成を阻害し、肌の成分であるコラーゲンを生成するのを助けてくれます。また鉄分を吸収するのもビタミンCは助けます。これにより肌は艶やかになり血色もよくなって美肌になります。
この様に、ジャガイモにも含まれるビタミンCは身体を若々しく、そして病気に強くするのに大切な栄養素です。
カリウムの役割と健康効果
ジャガイモ100g当たりに410mgのカリウムが含まれています。このミネラルは身体の中の水分バランスを保つのに必須の栄養素です。
- 塩分由来でナトリウムが過剰になると、その濃度を一定にしようと、血管内や細胞内に多くの水分を取り込む
- 細胞内や血管内が水分過多になることによって、むくみや高血圧が発生する
- カリウムを摂取すると、過剰なナトリウムが排出され、結果体内の多くなった水分も排出されむくみや高血圧が改善される。
前述の通り、カリウムはナトリウムに作用します。実はこの関係を利用して体内で電気刺激を作り出し、各所筋肉を動かしています。この様に、体内の水分バランスの維持だけでなく、心臓を含めてすべての筋肉を正常に動かすのに、ジャガイモにも含まれるカリウムは必要となります。
食物繊維の利点
ジャガイモには不溶性食物繊維が4g、水溶性食物繊維が4.9g、合計で8.9gの食物繊維が100g当たりに含まれています。これらの食物繊維は腸内環境の改善の他にダイエットなど、様々な健康効果が期待できます。
- 不溶性食物繊維:体内で水分などを含み膨らむので、満腹感の継続や腸内で便の暈ましになり、腸を刺激して蠕動運動を起こし便意を引き起こします。また腸内を健全に保ってくれている善玉の腸内細菌のエサにもなります。
- 水溶性食物繊維:水に溶ける食物繊維で便の潤滑油としての効果があるだけでなく、脂質や糖質の吸収を穏やかにして太りすぎるのを予防する効果も期待されています。
腸内には全身の70%近くの免疫細胞が常駐しており、腸内を健全に保つことは、ひいては免疫を健全に保つことに繋がります。また近年の研究で脳と腸に「脳腸相関」と呼ばれる関係があることが判明し、健全な精神を維持するのに、腸の健全性の重要性も指摘されています。
このようにジャガイモにも含まれている食物繊維は積極的に摂りたい栄養素になります。
クロロゲン酸の効果
クロロゲン酸は主にコーヒーやジャガイモに含まれているポリフェノールです。ポリフェノールとは植物由来の健康に良い成分ですが、特にクロロゲン酸には以下の様な効果が期待されています。
- 抗酸化作用:活性酸素による体の酸化を予防し、それによって老化やガンなどを予防してくれます。
- 内臓脂肪減少:クロロゲン酸は体内の脂質をエネルギーに変える代謝を助けるだけでなく、余分な糖質が脂肪になるのを阻害してくれます。
- 美肌効果:2015年の花王の研究によりクロロゲン酸には血流を調整してくれる効果が確認されました。これにより肌代謝に必要な栄養を含んだ血液を行き届かせ若々しい肌を維持してくれます。
このように、ジャガイモに含まれるクロロゲン酸には、肥満予防と若々しい体の維持との両方に大切な栄養素です。
じゃがいもを栄養豊富に調理する方法
この様に栄養豊富なジャガイモですが、その栄養を余すところなく摂取するには調理に気を付ける必要があります。
皮ごと調理する
じゃがいもの皮には多くの栄養素が含まれており、特にビタミンCや食物繊維が豊富です。じゃがいもを皮ごと調理することで、これらの栄養素を最大限に保持することができます。皮ごと茹でることで、ビタミンCの損失を最小限に抑えることができます。
蒸す
蒸すことはジャガイモの栄養素を余すことなく摂取するのに有効な調理方法です。水に直接触れることが少ないため、水溶性ビタミンであるビタミンCなどの損失を防ぐことができます。蒸し器を使用して、じゃがいもを15〜20分ほど蒸してください。竹串やフォークで簡単に刺さる柔らかさになっていれば加熱終了です。
茹でる
ジャガイモに含まれるビタミンCは比較的熱に強く茹でても壊れません。しかし水溶性のビタミンですので、水分内にその栄養素が溶け出してしまいます。この為、ジャガイモを茹でる場合は皮ごと茹でてビタミンの流出を最小限にするか、もしくはその水分ごと食べれるカレーやスープ、シチューなどにすると効果的です。
電子レンジで加熱する
電子レンジを使ってじゃがいもを調理することも、栄養素を保持するための効果的な方法です。電子レンジ調理は短時間で済み、水を使わないため、ビタミンの損失を最小限に抑えることができます。
また電子レンジを使用することにより、料理の時短をすることもできます。
これらの調理方法を取り入れて効率よく、そして美味しく健康的にジャガイモを調理してください。
保存方法と注意点
保存方法
- 冷暗所に保存:じゃがいもは直射日光を避け、涼しくて暗い場所で保存するのが最適です。温度は5℃から10℃の間が理想的です。例えば、冷暗所や地下室が適しています。湿度が高い場所を避けることも重要です。
- 新聞紙に包む:じゃがいもを新聞紙に包んでから保存すると、湿気を吸収し、カビの発生を防ぐ効果があります。これは特に湿度の高い時期に有効です。
- りんごと一緒に保存:じゃがいもを保存する際にりんごを一緒に置くと、りんごから放出されるエチレンガスがじゃがいもの発芽を抑制します。ただし、他の果物や野菜と一緒に保存するのは避けたほうが良いです。
注意点
- 発芽と緑化の防止:じゃがいもが発芽したり、皮が緑色になった場合、その部分にはソラニンという有毒物質が含まれているため、必ず取り除いてから調理してください。発芽を防ぐために、保存場所の温度や光の管理に注意が必要です。
- 適切な通気:じゃがいもを保存する袋や容器は通気性の良いものを選びましょう。プラスチック袋などで密閉すると、湿気がこもりカビの原因になります。
これらのジャガイモの保存方法を実践することで、長持ちさせ、栄養価を保ちながら安全に使用できます。
じゃがいも健康効果まとめ
じゃがいもは南米アンデス山脈が原産で、1526年にスペインへ伝わり、1576年にはオランダ商人によって日本に持ち込まれました。名前の由来は、ジャカルタ(旧称:ジャガトラ)経由で日本に来たことから、「ジャガタラから来た芋」が訛って「じゃが芋」となりました。
そのジャガイモ栄養素には様々な健康効果があります。
- ビタミンC:抗酸化作用、免疫力向上、美肌効果
- カリウム:血圧調整、むくみ改善
- 食物繊維:腸内環境改善、満腹感持続
- クロロゲン酸:抗酸化作用、脂肪減少
これらの健康効果はジャガイモを適切に調理することによって、簡単に日々の食事から摂取することができます。特に珍しいポリフェノールのクロロゲン酸はジャガイモとコーヒーに多く含まれています。インカ帝国を支えたジャガイモの健康効果を私たちも日々の食事から取り入れていきましょう。