大根の秘めた力:健康にどのように貢献する?その驚異的な栄養価と未知の効能を探る
これからが旬の大根
大根は1年中、日本全国の産地や品種を変えて生産することで年間で常にある野菜です。ただ、その大根は寒くなってくると、大根自体が寒さで凍らないようにその実に糖分を蓄えていきます。その為、秋から冬にかけての大根は甘味が強くみずみずしいので、この時期が大根の旬と呼ばれます。
そんな美味しい大根の歴史と健康効果について今回もひも解いていきます。
大根の歴史
大根発祥は中央アジアから地中海沿岸と言われていて、古代エジプト(紀元前2200年)頃には小型のハツカダイコンに近い品種が栽培されいました。
当時はニンニクや玉ねぎ同様に、ピラミッド建設の労働者の食料となっていたそうです。
中国には紀元前500年頃には大根が伝来しており、日本には弥生時代には入って来たのではという説もありますが、大根の種は腐りやすく化石になり難い為、裏付ける理由が大根が属するアブラナ科の植物の花粉が遺跡から見つかったというだけなので、実際に弥生時代の日本に大根が伝来していたかの特定には至っていません。
ただ公式の日本の文献で最初に大根の記述があるのは古事記(712年)にある仁徳天皇の次の歌です。
つぎねふ山城女の木鍬持ち打ちして淤富泥(おほね) 根白の白腕(しろただむき 枕かずけばこそ知らずとも言わめ(直訳:木の鍬で耕して育てた大根の様に、真っ白なあなたの腕を枕にしたことがなかったら、知らないと言うだろう)
この歌は仁徳天皇が皇后に向けて詠ったもので、腕を白い大根に見立てて褒めた歌です。なお現代では悪い意味に捉えられている「大根あし」ですが、こちらも元々の意味は「白くて滑らかな脚」という誉め言葉でした。農業技術の向上や品種改良により大根が太くなるにつれて「太い」という意味に変化していったようです。
他の平安の文献にも大根は「蘿菔(おおね)」と書かれていて、その後、室町時代の文明年間(1469~1487年)に作られた国語辞典「節用集」に「大根(だいこん)」という表記が初めて出てきました。
大根が広く栽培されるようになったのは乱世が終わった江戸時代からで、各地で「地大根」が開発栽培されました、東京の「練馬大根」神奈川の「三浦大根」京都の「聖護院大根」鹿児島の「桜島大根」などが有名です。
また戦乱の世が終わって人口が増えてくるにつれて大根を含めた食料の生産量も増え、それに伴い貯蔵、加工技術の開発・向上が成されました。有名な大根の貯蔵品として「沢庵漬け」があります。名前の由来は所説ありますが、臨済宗の僧侶「沢庵禅師」が万松山東海寺を開いた際に、三代将軍徳川家光が訪れ、その時に出された大根の糠漬けを将軍が気に入って「沢庵漬け」と名付けたと言われています。
大根の部位によって味わいが違う
大根はその部位ごとに味わいがが異なり、その部位ごとにおすすめの料理が異なります。
大根上部
葉からの栄養がたっぷり行き届いた上部は、大根の中で一番甘みが強く、生食に向きで、サラダや大根おろしに最適です。
大根中部
ほんのり甘みがあり、火を通すと柔らかくなるのでおでんの様な煮込み料理向きの部位になります。
大根下部
硬い地面に向かって進んでいく為、固く筋が多く、またそのストレスからか辛みが強い部位になります。辛い大根おろしがお好きであれば大根上部ではなく下部をすりおろすと良いです。
大根葉
大根はブロッコリーやキャベツなどと同じアブラナ科の植物なので当然葉も食べられます。軽く塩ゆでしてアクを抜いてから炒め物やみそ汁の具として用いれます。
大根の健康効果をご紹介
1月7日の「人日の節句(じんじつのせっく)」で食べれれる「春の七草」で蘿蔔(すずしろ)と呼ばれている大根。この風習は7種の若菜を入れた汁(お粥)を食べて一年間の無病息災を祈願するものです。もちろん風習だけでなく春の七草に含まれる栄養、その中でも大根に含まれる栄養効果によって実現されるものもたくさんあります。この章では、そんな大根の健康効果についてご紹介致します。
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 食物繊維 | 炭水化物 |
12kcal | 96.5g | 0.3g | Trg | 0.1g | 2.7g |
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
21mg | 140mg | 14mg | 9mg | 13mg | 0.1mg |
亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 | セレン | クロム |
0.1mg | 0.01mg | 0.01mg | 3㎍ | 0㎍ | 0㎍ |
モリブデン | ビタミンA | βーカロテン | β−クリプトキサンチン | ビタミンD | ビタミンE |
1㎍ | 0㎍ | 0㎍ | 0㎍ | 0㎍ | 0.mg |
ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 |
0㎍ | 0.02mg | 0.01mg | 0.1mg | 0.03mg | 0㎍ |
葉酸 | パンテトン酸 | ビオチン | ビタミンC | 食塩相当量 | |
21㎍ | 0.07mg | 0.2㎍ | 7mg | 0.1.g |
だいこん/かわなし/なま 栄養成分100g当たり【出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】より
消化促進
大根には様々な消化酵素を含みます。まずアミラーゼ(ジアスターゼ)はでんぷんを分解する作用があり、プロテアーゼにはたんぱく質を、リパーゼには脂質を分解する効果があります。
このため、お蕎麦の薬味や焼魚の付け合わせにまさに打ってつけです。ただし、これらの消化酵素は熱を通すと失活して効果がなくなるので、消化促進を目的ならば大根おろしやサラダ、お刺身のつまなどで生食で召し上がるようにしましょう。
血圧の安定
大根には体内の余分な水分を排出することに効果があるカリウムが豊富に含まれています。特に切り干し大根は干されることに寄ってカリウムがより濃縮されていて効率よく摂取することができます。
抗酸化効果
大根に含まれるビタミンC、イソチオシアネートには非常に強力な抗酸化効果があります。また葉のみに含まれていますが、βカロテンも豊富で、このβカロテンにも強い抗酸化効果があります。これらにより身体を酸化ストレスから守ってくれます。
腸内環境改善
大根には多くの食物繊維が含まれております。食物繊維には腸内の良性細菌のエサになり、腸内を良好に保ってくれます。
殺菌効果
大根や蕪に含まれる辛み成分イソチオシアネート強い殺菌効果がある他に、胃液の分泌を促進し、肝臓の解毒作用を向上し、がんの予防にも効果が期待されています。
まとめ
紀元前のピラミッド建設の頃から人々に愛され栽培されてきた大根、目立たない印象が強いですが、実は消化を助け腸内を改善するなど、縁の下の力持ちな栄養素を多く含んでいます。
これから寒くなり大根が非常に甘く美味しい季節です。せっかくの美味しい大根を積極的に食べて、その隠れた栄養を余すことなく取り入れていきましょう。
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