日本食の中でヘルシーな食材として認知をされている納豆。その独特の臭いで苦手な方もいらっしゃりますが、実は6つの健康効果があります。それは「身体づくり」「貧血予防」「骨折予防」「腸内環境の改善」「更年期障害の予防」「血液サラサラ」。これらの効果、実は大豆ではなくて「納豆」に変化させたことによってパワーアップしています。それについて詳しく説明していきます。
納豆に合わせてお米のブログ「日本の伝統食、お米の神秘:栄養価と健康への影響を深く掘り下げてみませんか?栄養と歴史を探る!」
日本の納豆は大きく分けて3種類、「糸引き納豆」「甘納豆」「寺納豆」。それぞれについて紹介していきます。
「納豆」と言われてまず最初に頭に浮かぶのは、この納豆ですね。水に漬けて柔らかくした丸大豆もしくはひきわり大豆を茹で、納豆菌を大豆にふりかけ、40~42℃に保たれた室(むろ)で発酵させて作られるネバネバ糸引く納豆。その歴史はハッキリしておらず室町時代には食べられていました。ただその当時は今の様に食べるのではなく納豆汁にして食べらえていました。かの有名な茶人「千利休」も茶会に出す料理の中に「納豆汁」と残しているそうです。
推測の範囲ですが、およそ2000年前の弥生時代に、稲作が中国から伝来した後、の本陣は稲作の副産物である稲わらを使って様々な道具(縄や筵(むしろ)など)をつくって利用してきました。それらを利用して生活していく中で、同時期に中国から伝来した大豆を煮た物の一部を稲わらの上に落とし、稲わらについた納豆菌の力で「糸引き納豆」の原型が生まれたのではいかと思われます。
中国で紀元前1世紀頃からあったとされる大豆を使った「鼓」が原型と言われています。伝来は所説ありますが、一休さんで有名な「一休宗純禅師」が持ち帰ったという説があり、現在も静岡の「大福寺」京都の「大徳寺」、京都の「一休寺」でそれぞれの寺社名を冠した寺納豆を作っています。
作り方は以下の通りです。
以上の工程を繰り返すこと2か月で完成です。ただし各寺社ごとに少しずつ製法が異なり、味や風味も異なります。
別名「唐納豆」「塩辛納豆」「浜納豆」とも言われます。その内「浜納豆」は、かの徳川家康が「浜名の納豆(大福寺納豆)はまだか!」と家臣に急かしたことから「浜名納豆」もしくは「浜納豆」と呼ばれるようになりました。
豆類や栗を柔らかく炊いて、糖蜜で煮詰め砂糖をまぶしたお菓子の総称です。その始まりは榮太郎総本舗の3代目 細田安兵衛がお菓子に向かない「ささげ」を糖蜜で甘い豆菓子にして、寺納豆で紹介した「浜名納豆」を文字って「甘名納糖(あまなっとう)」として販売し、お土産として好評を博しました。その後「甘納豆」となりました。
稲わらを使って作った納豆は日本独自の物ですが、世界には他の方法で糸を引く大豆加工食品があります。
黒大豆に麹を豆麴を作り、それを塩水に漬けて、乾燥、熟成を重ねて作られる発酵調味料です。中国では炒め物や蒸し料理に使われ、塩味の他に深いコクをもたらしてくれます。
テンペは大豆にテンペ菌(バナナやハイビスカスの葉に付着しているクモノスカビの一種)を着けて発酵させたインドネシアの発酵食品。日本の納豆ほどの臭いやくせが強くなく、肉の代わりとしてベジタリアンの方々に取り入れられている。
日本の納豆の製法と似ている。大豆を水につけ柔らかくしてから煮て、柔らかくなったら藁を燃やした灰を混ぜて、温かい場所で2~3日発酵させる。その後、長期保存の為天日干しをして完成。スープにしたり炒め物の具にしたりカレーに入れたりして食べられる。
リビ=大豆、イッパ=発酵を意味するネパールの大豆の発酵食品。段ボールにビニール袋を入れ、そこに茹でた大豆を入れて発酵させる。日本の様に納豆菌を添加することはしないで自然発酵で作られる場合と、茹でた大豆をバナナの葉で包んで発酵させる場合とある。リビイッパは現地では加熱して食べられていて丸く平たく成型して焼いて食べれれている(焼納豆(イッパベース))
ラオス北部で調味料として使われる発酵食品。トゥア=豆。ナオ=腐ったの意味です。茹でた大豆を発酵させ、それを塩と唐辛子を混ぜて熟成して作られます。研究者によると中国から伝来した「豆鼓」の派生調味料とのことです。
原材料は大豆ではなく「パルキア」という豆。炒ってから煮てひきわりにし、ヒョウタンに入れてヒョウタン内の納豆菌で発酵させる。オクラなどのスープで調味料として使われる。
作り方はネレなどのマメ科植物の種を使用して作られる。豆の形を残し球状にして保存され、主食の味付けやスープの調味料として用いられる。
ナイジェリアの「ダワダワ」同様に「パルキア」から作られる。豆の形を残した塩辛い半生の物。乾燥させた物。スモークした物。粉末にした物とあり、やはりスープなどの調味料として使われる。
最近は「納豆」の健康効果が注目されてフランスやアメリカでも作られるようになっているそうです。
この様に西アフリカから極東の日本まで豆を発酵させた食品は広がっているので、藁由来の「糸引き納豆」は日本発祥かもしれませんが、大豆を発酵させた食品の発祥は未だ解明されていません
そんな世界中で愛されている納豆。それにはもちろん理由があります。それは美味しいだけでなく、豆をそのまま食べても、そこに含まれるたんぱく質の吸収を阻害するサポニンやトリプシンインヒビターなどの成分が含まれているからです。
それらの阻害物質を納豆菌が壊してくれるだけでなく、6つの健康効果も生み出してくれます。
納豆菌の効果により大豆たんぱく質の吸収しやすくなり、より効率よく筋肉を生成することが期待できます。
納豆には鉄分が100g当たり3.3mgや葉酸が120μgと豊富に含まれています。この二つは血液を作るのに必須の栄養素なので貧血の予防に効果が期待できます。
納豆にはカルシウムが100g当たり90mg含まれており、また納豆に含まれるビタミンKは骨にあるオステオカルシン(カルシウム結合たんぱく質)を活性化させ、骨にカルシウムが沈着するのを促し、また骨からカルシウムが流出するのも防いでくれるので、骨折や骨粗鬆症の予防に効果が期待できます。
納豆に豊富に含まれる食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになります。また納豆菌の効果によって腸内の悪玉菌を減らしてくれます。ただ、納豆菌は非常に強い菌なので、過剰摂取してしまうと善玉菌も減らしてしまい、腸内のバランスを崩してしまうので注意が必要です。
納豆を含めた大豆製品に豊富に含有する「イソフラボン」は体内で女性ホルモンの「エストロゲン」とよく似ているため、似たような効果があります。その為、更年期障害の改善に「イソフラボン」が処方される場合もあります。ただし、過剰にイソフラボンを摂取すると婦人科系疾患の要因にもなりえます。1日2パックを上限に摂取するようにしましょう。
納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」というたんぱく質分解酵素は、血管内の血栓の原因になるフィブリンを溶かして血流を改善し、それに伴い血圧を下げてくれたりもします。
納豆、日本独自の物と思われがちですが、世界を見渡すと豆を発酵させて作られる発酵食品は数多あります。それは発酵により豆に含まれる栄養素を吸収しやすくしたり、新たな栄養素やうまみを生み出すのに一役買っていたからでしょう。
ただ、過ぎれば健康を崩してしまう場合もありますので、適量の1日2Pを上限に納豆を食べて健康に長生きしましょう。
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