レタスは食物繊維だけじゃない?!あなたに伝えたいレタスの栄養価とその健康効果について
レタスの遍歴
今ではサラダやサンドウィッチの付け合わせの代表野菜となっているレタス。その発祥については諸説あり、地中海沿岸から西アジアという説と、古代エジプトという説など様々な説があります。ただ、初期のレタスは現在の様に丸く結球したレタスではなく、葉だけの葉レタスでした。
そんなレタスが日本に初めて伝来したのは奈良時代の中国からでした。中国名でレタスは「莴苣(Wōjù ウワージィー)」と言い、当時の日本では「萵苣(Chisha チシャ)」として広まりました。当初は伝来したままの名前で伝わったと思われますが、レタスの切り口から出る白い液(ラクチュコピクリン)が乳の様に見えたことから乳草(チチクサ)になり、それが簡略されて「チシャ」となったとされています。
英名のレタスもラテン語の乳(Lac)に由来するので、どちらも名前も断面から出る白いラクチュコピクリンが、その由来となっています。
古代エジプトやギリシャではこの白いラクチュコピクリンに「催眠、催淫効果」があると信じられていたそうです。実際にその様な効果は確認されていませんが、レタスだけで作ったサラダ(lettuce alone salad)の韻が「Let us alone(二人っきりにさせて)」に似ていることから「ハネムーン・サラダ」とも言われています。
ただ、そんなセクシーな効果はありませんが、実際にレタスにはリラックスを促す効果の他に、様々な健康効果があります。今回の記事では、そんなレタスの優れた健康効果を深堀していきます。
レタスの基本的な栄養成分
よく「レタス〇個分の食松繊維」といわれる様に、レタスは食物繊維の代名詞として扱われています。ただその他の栄養素についてレタスは、全体の95%以上が水分で出来ているので見落とされがちです。しかしレタスには食物繊維以外にも健康に良い成分がたっぷり。βカロテン、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビタミンC、カリウム、鉄、銅などに加え、冒頭の白い成分ラクチュコピクリンもレタスには豊富に含まれています。
これらの成分はどれも体を健康に維持するのに必要不可欠な栄養素の1つです。次章ではそんなレタスに含まれる健康成分の中で特に特徴的な栄養素が、どのように身体に良い影響を与えるかご紹介致します。
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 食物繊維 | 炭水化物 |
11kcal | 95.9g | 0.6g | 0.1g | 1.1g | 2.8g |
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
2mg | 200mg | 19mg | 8mg | 22mg | 0.3mg |
亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 | セレン | クロム |
0.2mg | 0.04mg | 0.13mg | 1㎍ | 0㎍ | 0㎍ |
モリブデン | βーカロテン | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 |
Tr ㎍ | 240㎍ | 0㎍ | 0.3mg | 29㎍ | 0.05mg |
ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パンテトン酸 |
0.03mg | 0.2mg | 0.05mg | 0㎍ | 73㎍ | 0.2mg |
ビオチン | ビタミンC | 食塩相当量 | |||
1.2㎍ | 5mg | 0g |
レタス 栄養成分100g当たり【出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】より
レタスの特有の健康効果
レタスに含まれる健康に有効な成分を詳しく紹介していきます。
食物繊維
レタスに含まれる栄養素の代表格である食物繊維。100g当たり1.1gの食物繊維が含まれており、その内、不溶性食物繊維が1g、水溶性食物繊維が0.1g含まれています。
- 不溶性食物繊維:便の暈を増してくれて腸を刺激し、腸のぜん動運動を活発にすることによって便秘の予防効果が期待できます。また腸内にいるビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌のエサとなり、腸内で善玉菌を増やして腸内環境の改善を促してくれます。
- 水溶性食物繊維:水に溶ける特徴のある食物繊維。腸内の動きをスムーズにするだけではなく、余分な脂質なども吸着して排出してくれるため、ダイエット効果も期待できます。また糖質の吸収もゆっくりにしてくれる効果があるので、食後の血糖値の急変を予防してくれます。
食物繊維は、言わずも知れた腸内環境を良くする栄養素の代表格です。ただし、普段食物繊維をあまり摂らない方が、急に食物繊維を多く摂ると、腸内で食物繊維に対応しきれずに便秘になる場合があります。腸内の環境をよくするために食物繊維取る場合、腸内細菌が対応するのに10日から2週間程度の期間が掛かりますので、徐々に増やして腸内の対応する善玉菌を増やすようにしましょう。
- 1日の食物繊維の摂取目標:男性21g以上 女性18g以上 ※厚生労働省調べ 18歳から64歳対象
- 食物繊維摂取に対応する期間:10日から14日(2週間)程度 ※個人差があります。
腸内環境の改善には、食物繊維の他にもバランスの良い食生活が重要になります。
βカロテン
動植物に含まれるカロテノイド色素の一種。カロテノイドは食物に含まれる黄色もしくは赤食の色素のことで水に溶けにくく油に溶ける性質があります。大きく分けてカロテン類(βカロテンやリコピンなど)とキサントフィル類(アスタキサンチンやルテインなど)に分かれています。
レタスにはその内のβカロテンが100g当たり240㎍含まれており、このβカロテンは体内に吸収されるとビタミンAに変化されます。ビタミンAには以下のような健康効果があります。
- 目の健康維持:ビタミンAには少し薄暗い状態でも見えやすくする効果があります。ビタミンAは目にあるロドプシンというたんぱく質の主原料であり、これが不足すると夜盲症になります。またビタミンAは目の粘膜を正常にしたり、角膜の新陳代謝を活発にするなど目のケアに重要な栄養素です。
- 免疫機能:ビタミンAは皮膚や粘膜を健常に保ち、病原菌などが体内に入るのをブロックしてくれます。また免疫細胞として働く白血球を活性化してくれます。
- 皮膚と粘膜の保護:ビタミンAは皮膚や粘膜の再生と維持に役立つ栄養素です。しっかりビタミンAを摂ることによって、肌を美しく健康に保つ効果が期待できます。
- 健やかな成長:ビタミンAには細胞分裂を正常にし、健康に成長するのに必要な栄養素です。子供だけに限らず、大人も4か月程度で細胞が入れ替わっていますので、重要なビタミンと言えます。
この栄養素は油に溶ける脂溶性のビタミンなので、レタスを食べる時はオリーブオイルなどの健康に良い油と一緒に摂ると、焼肉などと一緒に食べるなど工夫すると、より効果的に健康効果を受けることができます。
カリウム
高血圧予防に効果が期待できるカリウム。レタスにも100g当たり200mgと豊富にカリウムが含まれています。カリウムは体内に入ると、血管内に存在するナトリウムの排出を排出してくれます。これによって血液が薄くなるのを予防する為に、血管内の水分も排出されて血管内の水分バランスを整えてくれ高血圧やむくみを予防してくれます。
また筋肉や神経を正常に機能させるにもカリウムは必要な栄養素です。1日のカリウムの摂取目安は男性2500mg、女性2000mgですが、腎機能が低下している場合は、カリウムを過剰に摂取すると高カリウム血症を起こし心不全などのリスクもあります。
腎機能が低下している場合は、必ず医師の指導に従って、カリウムを摂取することを心掛けてください。
葉酸
レタスに葉酸(ビタミンB9)が100g当たり73μg含まれています。これは葉酸が豊富と言われる枝豆(100g当たり320μg)やブロッコリー(100g当たり220μg)比べると少量ですが、上位2品と異なり、調理不要で手軽に葉酸を摂取できるメリットがあります。
レタスにも含まれている葉酸は、細胞の分裂や成長を助ける大切な栄養素です。DNAの合成を助け、正常な細胞を担う大切な栄養素なので、特に妊娠期に積極的に摂取することが推奨されている栄養素です。また血液内で酸素を運ぶ赤血球の生成にも必要な栄養素なので、十分な葉酸の摂取は貧血予防にも効果が期待できます。
葉酸は水に溶ける水溶性のビタミンですので、長時間水にさらしたりすると、折角の栄養素が流れて出てしまいます。その為、レタスを食べやすい大きさに千切る前に水洗いすることで、少しでも葉酸が溶け出すのを防いで、葉酸を逃さずに体に取り込む様にしましょう。
ラクチュコピクリン
このレタスの切り口から出てくる白い乳液にはラクチュコピクリンという苦み成分が含まれています。このラクチュコピクリンはレタスに含まれているポリフェノールの一種で、自律神経を整えて、心を穏やかに保つ鎮静作用があると言われています。
この為、レタスにはイライラを鎮めたり、睡眠を促すと言われています。
新鮮なレタスの見分け方
一般的な美味しく新鮮なレタスを見分けるコツをご紹介します。
- 切り口がキレイな物を選ぶ:レタスは収穫から時間が経過すると切り口が赤く変色します。切り口が白くきれいな物は収穫してから時間経過していません。
- みずみずしい物を選ぶ:重量の90%以上が水分のレタス。その為、時間経過と共に水分が抜けていくスピードが他の野菜より早いです。
- ふんわり巻かれている物を選ぶ:レタスは環境のストレスに敏感です。ストレスが多いと強く巻かれていて食感が硬く苦みが強い傾向があります。
レタスは水分がどんどん抜けて行ってしまうので、購入後2~3日程度で食べきるようにしましょう。またレタスに含まれるポリフェノール(ラクチュコピクリン)は鉄分と反応して赤く変色しやすいので、調理の際は包丁を使わず手でちぎって調理しましょう。
レタスの健康効果まとめ
古代から人類に食されてきたレタス、日本にも奈良時代に中国経由で渡来し萵苣(ちしゃ)と呼ばれて食されていました。ただ当時のレタスは現代のサンチュのような葉レタスで、現在のような球レタスは戦後にアメリカよりもたらされて物です。
その健康効果としては
- 食物繊維による腸内環境の改善
- βカロテンによる目の健康や免疫機能の維持
- カリウムによる高血圧の予防
- 葉酸による健常な細胞
- ラクチュコピクリンによる鎮静作用
などが挙げられます。レタスのメリットとして非常に調理がしやすい点があります。ただし、折角の栄養素を失わないように、洗う時は細かく千切らずサッと洗うことで水溶性の葉酸やカリウムを失わない様に、また食べる時は脂溶性の栄養素であるβカロテンを効率よく摂れるように油と一緒に食べるか炒めて食べる事をお奨めします。
4月頃から柔らかなレタスがどんどん出回ってくるまさにレタスの旬が始まります。美味しいレタスを正しい知識で、あなたの食卓に美味しく健康に取り入れていってください。
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