奈良時代より朝廷への貢物として珍重されてきた昆布。元々はアイヌの人々が「コンプ」と呼んでいた海藻であるというのが語源であると言われています。
当初は朝廷だけの物でしたが、戦乱の世が治まった江戸時代になると北前船での輸送ルートが開拓され、多くの昆布が北海道から福井を経由して大阪や京都へ運ばれる様になり、一気に昆布を使った料理が発達しました。その後も航路は広がっていったお陰で、昆布の自生しない沖縄でも昆布を使われた料理がたくさんあります。
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北前船の航路開拓によって花開いた昆布をたくさん使った日本料理ですが、美味しいだけではなく昆布に含まれる様々な栄養成分によって健康を維持できたのも日本全国に広がった要因のひとつでしょう。
今回のブログでは、そんな昆布の健康効果についてご紹介していきます。
昆布と言えば「出汁(だし)」です。そのうま味成分はアミノ酸の1種であるグルタミン酸とアスパラギン酸です。うま味成分は1種類より複数あるとより強く舌に反応するという特徴があります。その点、2種類の旨味を含む昆布は非常に美味しい食材と言えます。更にカツオ出汁も追加した一番だしになると日本料亭で提供されるほどの美味しさとなります。
そんな美味しさを引き立ててくれる昆布ですが、美味しさだけでなく含まれる様々なミネラルやビタミン、食物繊維によって様々な健康効果が期待できます。
今回は特に食物繊維、ヨウ素、カルシウム、カリウムなどがどのように体に利益をもたらすかを詳しく解説していきます。
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 食物繊維 | 炭水化物 |
170kcal | 9.5g | 5.8g | 1.3g | 32.1g | 64.3g |
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
2600mg | 6100mg | 780mg | 530mg | 180mg | 3.2mg |
亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 | セレン | クロム |
0.9mg | 0.11mg | 0.21mg | 200000㎍ | 2㎍ | 14㎍ |
モリブデン | ビタミンA | βーカロテン | β−クリプトキサンチン | ビタミンD | ビタミンE |
11㎍ | 0㎍ | 1600㎍ | 43㎍ | 0㎍ | 2.6mg |
ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 |
110㎍ | 0.26mg | 0.31mg | 1.3mg | 0.03mg | 0㎍ |
葉酸 | パンテトン酸 | ビオチン | ビタミンC | 食塩相当量 | |
240㎍ | 0.35mg | 9.7㎍ | 29mg | 6.6g |
まこんぶ/素干し 栄養成分100g当たり【出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】より
昆布には非常に強力な抗酸化成分があります。その抗酸化効果を期待してか、あの秦の始皇帝が不老長寿の妙薬の1つとして昆布を珍重したとの逸話もあります。そんな体を錆びさせない素晴らしい昆布の抗酸化成分をご紹介します。
昆布を含めた褐藻類に含有するフコイダンやフコキサチンは、身体の錆びさせ老いや病気の原因になる活性酸を取り除く素晴らしい抗酸化成分です。昆布のこれらの成分によって、若々しく健康に過ごせる一助になるはずです。
昆布は低カロリーで満腹感を得やすい健康的な食材として注目を集めています。
乾燥した昆布は100g当たり170kcalありますが、食材として水に戻した昆布は100g当たり28kcalと非常に低カロリーで、ダイエットに最適な食材の1つと言えます。
昆布には食物繊維が豊富に含まれており、これによって食後の血糖値の上昇を抑え、コレストロールを下げる効果も期待されます。また食後水分を吸収して膨らむ為、少量でも満腹感を得やすくなります。
また昆布に含まれるカリウムによって、体内で余分となった水分を排出するのを助けてくれるので、これにより高血圧の予防と体のむくみの改善も期待できます。
昆布に含まれる様々な有効成分は、ガンの予防や心血管疾患リスクの軽減、血糖値の安定など、様々な病気の予防効果があるとされています。
昆布などの褐藻海藻に含まれるフコイダン(食物繊維)には抗腫瘍作用があるとされています。九州大学の研究のよると、低分子のフコイダンによってがん細胞の「アポトーシス誘導作用」「血管新生抑制作用」「免疫力強化作用」があるとされています。
また昆布の食物繊維によって、体内の老廃物などを吸着して排出してくれ、抗酸化成分によって身体の酸化も予防してくれるので、昆布に含まれる栄養の相乗効果でガンの予防に効果が期待できます。
昆布による心血管疾患リスクの軽減
昆布に含まれるアルギン酸やフコイダンには、血管内のコレストロールを低減してくれ、これにより動脈硬化や中性脂肪を低下してくれます。
これにより、全身の心血管疾患のリスクを軽減する効果が期待されています。
食事中に食物繊維を摂ると食後の急激な血糖値の上昇を抑える効果があると知られています。そして昆布には非常に豊富な食物繊維が含まれています。
この昆布の食物繊維によって、糖尿病の予防や肥満の予防にも役立つと考えられています。
この様に昆布は様々な病気の予防に役立つ優秀な食材と言えます。日常に取り入れることで、健康的な食生活のサポートをしてくれることが期待されます。
昆布は美容において美肌美髪効果の期待されるビタミンやミネラルが豊富で知られています。その成分による美容効果についてご説明します。
昆布にはヨウ素が豊富に含まれており、これは甲状腺保父門の生成に必要なミネラルです。甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にし、肌のターンオーバーを活性化します。また同じく昆布に含まれるビタミンB2にも肌のターンオーバーを活性化する効果があるので、この二つの美容成分によって滑らかで健康的な美肌を保つ効果があります。
昆布には新陳代謝を活性化させるミネラルが含まれているだけでなく、含まれるマグネシウムは髪のツヤを引き立て、カルシウムは髪を丈夫にしてくれます。
また昆布に含まれるビタミンB群は、髪の毛を形成するたんぱく質を作るのに必要な栄養素で、これにより白髪の予防効果も期待できます。
この様に昆布に含まるビタミン、ミネラルには美肌や美髪にも効果が期待されています。
ただし、全ての健康効果に言える事ですが、「昆布」だけでその効果を得られる訳ではなく、必ずバランスの良い食生活に、昆布をプラスするように心がけるようにしましょう。
古くから朝廷への貢物として珍重されてきた昆布。その薄い海藻の中には非常に厚い健康効果が含まれていました。昆布による「抗酸化作用」「ダイエット効果」「病気の予防」「美容効果」、それぞれ様々な研究機関で今も新たな健康効果の研究が進んでいます。
今後も昆布の新たな健康効果が見つかることを期待しています。
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