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桃の栄養と健康効果:黄桃と白桃で含まれるビタミンに違いがあった!その健康効果とは?

7月から夏いっぱいが旬の桃

7月になって、青果売り場に甘い香りを放つ桃が多く並ぶようになってきました。これから夏いっぱいが食べ頃の「桃」。

ただ、甘さと良い香りだけではなく、実は身体に良い効果がある栄養素がたくさんあります。今回はそんな桃の驚くべき健康効果をご紹介していきます。

 

桃に含まれる栄養素

青果売り場で並んでいる桃は一般的に白桃が多く、黄桃は主にシロップ漬けの缶詰になっていることが多いです。実はこの2種類はほとんど似た栄養素を含んでいますが、白桃にはほとんど含まれていないが、黄桃には含まれている栄養素も存在します。まさにあの「黄色」がその栄養素だったりします。

 

この章では、白桃・黄桃の共通の栄養素と、それぞれの違いをまとめてみました。

 

 

 

共通の栄養素

白桃・黄桃ともに、健康に良い栄養成分として。カリウム・ペクチン(食物繊維)・クエン酸・カテキンが挙げられます。

それぞれ、高血圧の予防や高コレストロールの改善、殺菌作用、腸内環境改善、疲労回復などに効果があります。

 

白桃・黄桃の違い

  • 白桃:実が柔らかくジューシーな果汁が豊富に含まれるので生食にされることが多い品種です。
  • 黄桃:黄桃は果肉がしっかりしていて白桃に比べると甘みが控えめなのでシロップ漬けの缶詰になっていることが多い品種です。しかし実はその黄色い色素はβカロテンで100g当たりに210μg含まれています。また強い抗酸化作用のあるビタミンEも1.2mg含まれています。白桃にはβカロテンもビタミンEも含まれていません。

栄養成分で言えば黄桃の方が含まれている成分が多岐に渡りますが、その代わり実が比べればしっかりしていて歯ごたえがあるのと、甘みが優しいため、白桃の方が高級と言われます。

 

ただ、近年、品種改良によって追熟することにより柔らかく甘みと酸味を併せ持つ「黄金桃」や、果肉は硬めですがジューシーな「黄貴妃(おうきひ)」、白桃と交配させることによって作られた「光黄(こうき)」などの新しい黄桃の品種も出てくるようになりました。

 

 

 

エネルギー 水分 たんぱく質 脂質 食物繊維 炭水化物
38kcal 88.7g 0.6g 0.1g 1.3g 10.2g
ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン
1mg 180mg 4mg 7mg 18mg 0.1mg
亜鉛 マンガン ヨウ素 セレン クロム
0.1mg 0.05mg 0.04mg 0㎍ 0㎍ 0㎍
モリブデン ビタミンA βーカロテン β−クリプトキサンチン ビタミンD ビタミンE
1㎍ 0㎍ 0㎍ 9㎍ 0㎍ 0.7mg
ビタミンK ビタミンB1 ビタミンB2 ナイアシン ビタミンB6 ビタミンB12
-1㎍ 0.01mg 0.01mg 0.6mg 0.02mg 0.㎍
葉酸 パンテトン酸 ビオチン ビタミンC 食塩相当量
5㎍ 0.13mg 0.3㎍ 8mg 0.g

 

もも 白肉種(生) 栄養成分100g当たり【出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】より

 

桃の健康効果

桃に含まれる栄養成分がそれぞれ、どのような健康効果があるのかご紹介します。

 

疲労回復

桃には100g当たり0.1gのクエン酸が含まれています。クエン酸を摂取することによって、以下のような作用が期待されます。

  • エネルギーの効率生成:クエン酸を摂取すると、エネルギーが生成されるサイクルであるクエン酸回路が活性化します。これにより効率よくエネルギー(ATP)が生成され元気になります。
  • 疲労物質を無くす:クエン酸には体内の疲労物質である「乳酸」を分解・代謝するのを助けてくれます。また摂取したマグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分を効率的に吸収しやすくして、疲労物質を貯めにくくする「キレート作用」も起こしてくれます。
  • 抗酸化作用:クエン酸には抗酸化作用もあり、強い紫外線などによる酸化ストレスを軽減してくれます。

 

腸内環境改善

桃には100g当たり1.3gの食物繊維が含まれています。その内、水に溶ける水溶性の食物繊維が0.6g、溶けない不溶性の食物繊維が0.7gとなります。

 

水溶性・不溶性食物繊維の健康効果

  • 水溶性:この食物繊維は水に溶けてゲル状になり、それによって栄養素をゆっくり吸収して血糖値の急上昇や過度のコレストロールの上昇を予防します。ゲル状になることにより腸内の潤滑油の役割を果たします。また、水溶性の食物繊維は腸内細菌の栄養源となるため、良好な腸内フローラを生成するのに大切な栄養素です。
  • 不溶性:水で溶けることはありませんが、この食物繊維は水分を吸収して便の総量を増やしてくれます。これにより腸内に刺激を与えてくれて、腸のぜん動運動を活発にして便秘を予防してくれます。

 

この様に桃に含まれる食物繊維によって、腸内環境の改善が期待されます。また、国立がん研究センターの1995年の研究論文によると、

  • 食物繊維を多く摂る女性は、心臓などの循環器の疾患リスクが最大35%ほど下がった。
  • 水溶性よりも不溶性食物繊維を多くとると、脳卒中のリスクも低くなる。

論文発表当時、男性の喫煙率が高かった為、女性に顕著に食物繊維による死亡リスクの軽減が出ていましたが、現在は男女ともに食物繊維の摂取による死亡リスクの軽減が国立がん研究センターより提言されています。

桃に限らず、食物繊維は積極的に摂取していきましょう。

 

 

抗酸化作用と病気予防

桃を切って放置すると茶色く変色してしまいます。これは桃に含まれるクロロゲン酸、L-エピカテキン、ロイコアントシアンなどのポリフェノールのよるものです。

 

このポリフェノールは身体を酸化ストレスから守る抗酸化の効果があります。これにより細胞の劣化による老化やガンなどの病気を予防してくれます。

 

また、桃の皮目には緑茶に含まれていることで有名なカテキンも含まれています。皮周辺でうっすら感じる渋みはこのカテキンによるものです。もしカテキンの健康効果もしっかり取りたい場合は、皮ごと桃を食べると効果的に摂取することができます。

 

カテキンの健康効果は「新茶と八十八夜の茶摘み、健康と長寿の秘訣は?身体に良い成分の効果を大解説」をご確認ください。

 

 

 

免疫力の向上

桃に含まれるビタミンCには、強力な抗酸化作用があるので体に害なす活性酸素を除去するだけに限らず、免疫細胞の白血球やリンパ球に多くビタミンCが含まれていることから、免疫の強化が期待できます。

 

また黄桃に限りますが、実に含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変換され、粘膜を正常に保ってくれるので、病原菌が体内に侵入するのをブロックしてくれます。

 

この2つの効果も相まって、桃による免疫力の向上が期待されます。

 

高血圧の改善

桃には100g当たり180mgのカリウムが含まれています。このカリウムは体内の余分な水分を排出するのを助けてくれて、これによって高血圧やむくみなどの症状の改善が期待できます

美肌効果

桃に含まれるビタミンCには鉄分を効率よく吸収するのを助ける効果があります。これにより血色の良い肌を見せることができます。またコラーゲン生成にもビタミンCは大きく影響しています。ビタミンCが不足すると体内で作られるコラーゲンも不安定なものになってしまいます。健全な肌の為には、桃にも含まれるビタミンCは必須の栄養素です。

 

また黄桃に含まれるβカロテン(ビタミンA)も肌の細胞のターンオーバー(新陳代謝)を促進するだけではなく、粘膜の維持もしてくれるので、肌の乾燥の予防効果も期待できます。

 

 

桃の摂取方法

桃に含まれる内のビタミンEなどの脂溶性栄養素は油と一緒の摂取をすることによって、効率よく体内に取り入れることが出来ます。

 

この為、食後のデザートとして食事でしっかり良質のオリーブオイルなどの油分を摂るか、もしくは桃そのものをオリーブオイルと生ハムで冷製パスタにして食べるなど工夫する事をお奨めします。

 

 

桃の健康効果まとめ

美味しいだけでなく美肌や免疫の向上、高血圧の改善など様々な健康効果がある桃、そして黄桃・白桃と色の違いによる含まれる栄養素の違いがあるという意外な事実もありました。

 

フレッシュな桃を食べて健康維持して、この夏を楽しく乗り越えましょう。

 

なお、桃は健康に非常に良いフルーツですが、それと同様に非常に多くの果糖も含みます。「健康の為」と言っても、桃の食べ過ぎには十分に気を付けましょう。

 

 

城戸憲司

View Comments

    • 農家さんが頑張って美味しく美味しく育ててくれた分、良い値段しますね。
      健康の為にはバランス良く食べるのが一番なので、普段の食事の彩りに桃も加えてあげてください♪

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