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春菊の魅力とその歴史的背景を解説!元々は観葉植物だった?食用から薬用までご紹介

春菊の魅力とその歴史的背景

鍋に入れて美味しく、サラダでも美味しい春菊。実は原産地では食用ではなく観賞用として用いられていましたが、アジアに渡るにつれて、その素晴らしい栄養素による健康効果から、食用や薬用として使われるようになりました。

 

春菊はキク科シュンギク属に属する一年草で、地中海沿岸が原産地と言われています。ヨーロッパ圏では食用ではなく、観賞用として用いられている春菊ですが、シルクロードを介してアジアに伝わるにつれて食用の野菜として栽培されるようになりました。

 

現在、食用として栽培しているのは日本、中国、インド、東南アジアで、特に中国では「食べる風邪薬」と珍重され漢方として「茼蒿(Tónghāo)」もしくは「菊花菜(Júhuā cài)」と呼ばれています。

 

日本には渡来した室町時代後期と言われていますが正確な年は分かっていません。、初めて日本の書物で春菊が紹介されたのは、応仁の乱など激動の時代に摂政・関白をしていて学者でもあった一条兼良(1402~1481没)が書いた往来物(当時の教科書)である「尺素往来(せきそおうらい)」ですが、ここで出てきた春菊は「深山嫁菜(ミヤマヨメナ)」のことではないかという説があります。

 

1477年から1826年に掛けて、宮廷に仕えていた女官が書き残した「御湯殿上日記」の中で1560年頃に春菊の別名である「高麗菊」や「しゆんきく」の記載があることから、それ以前には日本に伝来していたと考えられます。

 

上記の書物がどちらも宮廷関連の書物であることから、当時の宮廷のあった京都周辺の関西圏から日本に入ってきたと考えられます。実際に関西圏では春菊のことを「菊菜」と呼ばれています。由来は菊のような葉の形の菜(食用植物)だからか、もしくは渡来元の中国語の「菊花菜」からかもしれません。

 

その菊菜が春菊と呼ばれるようになったのは、江戸中期に寺島良安によって編纂された百科事典である「和漢三才図会」によると、「春に菊に似た花が咲く」ことによるとあります。

 

戦乱が収まった江戸時代から関西から全国へ広がり、その栄養価と美味しさで日本全国へと広まった春菊の健康効果をこのブログでご紹介します。

 

 

春菊の伝統的薬膳としての利用

春菊は中国では「食べる風邪薬」と呼ばれ薬膳の食材として利用されています。その効能は以下の通りです。

  • 風邪予防
  • 肺機能の改善
  • 整胃作用
  • 疲労回復
  • 貧血予防
  • ストレス発散・不眠解消
  • がん予防 など

漢方の考え方では、乾燥による肺に溜まった熱が咳や痰の原因とされ、またその熱が不安や不眠を引き起こす原因と考えられています。春菊はその熱の排出に効果があると言われていて、これらの症状の改善に効果があると言われています。

 

 

春菊の成分と現代医学における研究

春菊にはビタミンやミネラル、そして健康に良い香り成分が含まれています。それらを順番にご紹介します。

 

βカロテン(ビタミンA)

春菊には小松菜のおよそ1.5倍の4500μg(100g当たり)のβカロテンが含まれています。このβカロテンは脂溶性で体内に取り入れられるとビタミンAに変化します。

ビタミンAは視力の維持、皮膚や免疫システムのサポート、細胞分裂に重要な栄養素です。また、身体を酸化から守る抗酸化作用があり、活性酸素で細胞が損傷するのを保護する役割もあります。さらに、生殖健康のサポートや骨と歯の強化にも寄与しています​ 

 

これによりがんの予防や免疫力のアップに効果が期待できます。

 

βカロテンも豊富な小松菜の健康効果についてのブログはコチラから←

 

ビタミンC

春菊に含まれるビタミンCは19mg(100g当たり)含まれており、皮膚や血管などの生成、免疫機能のサポート、抗酸化作用などがあります。またビタミンCと鉄分を一緒に摂ることによって、鉄分の吸収を助けてくれます。

 

このことから、健康な体や美肌、風の予防、抗酸化による細胞の老化予防、貧血の予防などの効果があると考えられます。

 

ビタミンK

ビタミンKは、血液凝固、骨の健康、心臓の健康をサポートする重要な栄養素です。血液が固まるのを助けるため、出血が止まるように作用します。このビタミンKが春菊には460μg(100g当たり)と豊富に含まれており、健康な体の維持には必要な栄養素となっております。

 

 

カルシウム

春菊には120mg(100g当たり)のカルシウムが含まれています。これは牛乳の110mgよりたくさんのカルシウムが含まれていることが分かります。

 

カルシウムはご存じの通り我々の骨格の主成分です。またカルシウムが不足するとストレスが発生してしまいます。

 

健全な骨格とメンタルの維持に春菊にも含まれるカルシウムが不可欠です。カルシウムを効率よく吸収するには魚や干したキノコ類に含まれるビタミンDが有効になります。

春菊を召し上がる時に、一緒に具材として用いれば、より健康へと近づくでしょう。

 

鉄分

春菊には1.7mg(100g当たり)の鉄分が含まれています。鉄分は血液中の酸素を運ぶ赤血球の主成分で不足すると貧血の原因になってしまいます。

この点、春菊には鉄分と、それを吸収するのを助けるビタミンCが含まれているので、不足がちになる鉄分の補給の一助になってくれます。

 

香り成分

春菊に含まれる独特な香りはαーピネンやベンズアルデヒドなど10種類の精油成分に寄ります。

 

  • αーピネン:マツ、ヒノキ、スギなどの針葉樹に多く含まれていることのある成分で、精神をリラックスさせる効果があると言われています。またこの成分によって森林浴は精神安定に良いと言われています。
  • ベンズアルデヒド:シソにも含まれる香り成分で、抗菌・殺菌作用があると言われ、食中毒の予防や胃腸の改善に良い効果があると言われています。

 

これら春菊に含まれる様々な栄養素によって、視力の維持、免疫の改善、皮膚や血管の維持など多くの恩恵を受けられます。なおビタミンCなどの成分は水に溶けだす成分なので、鍋などで汁ごと召し上がる事をお奨めします。

 

 

春菊の健康効果まとめ

春菊はその多様な健康効果と栄養価で知られ、特にアジアの伝統医学では「食べる風邪薬」として重宝されています。この美味しくて健康的な野菜は、ビタミンA、C、Kを豊富に含み、これにより免疫力の強化、視力や皮膚の健康維持、骨の強化といった多岐にわたる健康効果が期待できます。

 

更に、春菊の持つ独特の香り成分には、リラックス効果や抗菌作用があり、精神の安定や消化促進にも効果的です。

 

春菊の栄養素は、そのまま生で食べても、料理に加えても、その効能をしっかりと発揮します。風邪の予防から日々の疲労回復、さらには長期的な健康維持に至るまで、春菊はあらゆる側面から私たちの体をサポートしてくれる素晴らしい食材です。

その魅力を活かして、ぜひ日々の食事に春菊を取り入れてみてください。その素晴らしい効果は、きっとあなたの健康を輝かせるはずです。

城戸憲司

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