今では一般的な青菜の代表格である小松菜。この小松菜には非常に健康に良く美肌にも莫大な効果がある栄養素があります。実は小松菜は最初名前もない菜っ葉でした。ただそれがある時、徳川8代目将軍 徳川吉宗が食すことで一変して今では日本の葉野菜の代表格にまでなっています。
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その昔、天下統一した江戸幕府初代将軍 徳川家康は平時になってからも、武士に武門鍛錬の為に「鷹狩」を推奨し、徳川家康も川や湿地が多い葛西領(現、葛飾区、江戸川区、千葉県西部)に鷹狩に訪れてその際に葛西神社に立ち寄ったと新編武蔵風土記(1804~1829年)にも記されています。余談ですが、弊社がある柴又の地も、以前は一面の湿地帯となっており地面が島の様になっていた為、地名が「島俣(しままた)」となっていました。
徳川家康の頃から時代が進んで1719年(享保4年)に現在の江戸川区小松川村に鷹狩に訪れた徳川8代目将軍 徳川吉宗は、その時に村人から地元の菜っ葉を入れたすまし汁を献上され、それを非常に気に入られて当時名前が無かった菜っ葉でしたので、地名にちなんで「小松菜」と名付けたそうです。
そんな美味しさのあまり将軍に名前まで付けられた小松菜ですが、美味しいだけでなく、多くの栄養素を含み、それにより美容と健康とダイエットにも効果が期待できます。今回の記事で小松菜の秘密を解明していきます。
小松菜の健康的な秘密
ほうれん草とよく似た見た目の小松菜、ほうれん草は葉が比較すると細く根元が赤い、葉に丸みが強く根元が白い方が小松菜になります。
そんな小松菜で特に注目される栄養素はカルシウム、カリウム、βーカロテン、鉄分、ビタミンC、ビタミンB群、食物繊維です。
小松菜に含まれる栄養素の代表がこのカルシウムです。小松菜100g当たり170mgとカルシウム豊富な牛乳の110mgより小松菜は1.5倍以上カルシウムを含まれています。
小松菜には100g当たり500mgのカリウムが含まれています。カリウムは血中で過剰になったナトリウムを排出するのを助け、それによって血中の水分が減って血圧を下げる効果が期待できます。また体内の余計な水分が排出されることによって、むくみの改善も期待できます。
脂溶性の栄養素で体内に入るとビタミンAに変換されて作用してくれます。ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健全に保ち、暗いところでの視力維持にも効果があります。また免疫力の向上にも良い影響を与える上に、細胞の増殖を助けます。
またβーカロテン自身も、身体を酸化ストレスから助ける抗酸化効果や免疫力の向上に効果があります。小松菜にはこのβーカロテンが100g当たり3100㎍と豊富に含有しています。
小松菜には100g当たり2.8mgの鉄分が含まれていて、それは鉄分豊富と言われるヒジキとほぼ同等の量になります。ただ小松菜に含まれる鉄分は非ヘム鉄といって、レバーなどの動物性鉄分であるヘム鉄に比べて人体に吸収するのが難しい鉄分になります。この為、せっかくの小松菜の鉄分を効率よく吸収する為に、鉄分吸収を高める動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ることをお奨めします。
成人の1日の鉄分の摂取目安は男性で7.5mg、女性で6.5mg(月経時は11mg程度)と言われています。小松菜に限らず積極的に鉄分を摂取していきましょう。
小松菜に含まれるビタミンCは100g当たり39mgと、ビタミンCの代表であるレモンの100mgに比べたら半分以下ですが、レモンよりは食べやすく食べる量がレモンより多くなるので、結果的に多くのビタミンCを摂取することができます。
ビタミンCは、鉄分の項目でもご紹介した通り、鉄分の吸収を助けてくれる効果があります。またビタミンcにはコラーゲンを生成するのを助け、皮膚の代謝を活発にしてくれます。また非常に強い抗酸化効果があるので、老化やガン、生活習慣病の原因になりうる活性酸素を除去してくれます。
ただし、ビタミンCは水に溶けだす水溶性のビタミンなので、茹でる時は短時間に留めて栄養素が抜けださない様に気を付けるか、汁物として溶け出したビタミンCも摂取するようにしましょう。
ビタミンB群であるビタミンB1は糖質を、ビタミンB2は脂質をエネルギーに代謝するのを助け補酵素として働きます。また同じくビタミンB群である葉酸は細胞分裂を助けるだけでなく、ビタミン12と一緒に血液中の酸素を運ぶ赤血球を生成してくれます。
小松菜に含まれる食物繊維は100g当たり1.9gと、レタスの1.1gよりも70%も多くの食物繊維を含んでいます。小松菜の食物繊維の多くは不溶性食物繊維で、便の量を増やしてくれて排出を助けてくれます。
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 食物繊維 | 炭水化物 |
13kcal | 1.5g | 0.2g | 1.9g | 2.4g |
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン |
15mg | 500mg | 170mg | 12mg | 45mg |
鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 |
2.8mg | 0.2mg | 0.06mg | 0.13mg | 2㎍ |
セレン | クロム | モリブデン | βーカロテン | ビタミンK |
1㎍ | 2㎍ | 10㎍ | 3100㎍ | 210㎍ |
ビタミンB1 | ビタミンB2 | ビタミンB6 | 葉酸 | ビタミンC |
0.09mg | 0.13mg | 0.12mg | 110㎍ | 39mg |
小松菜(生)栄養成分100g当たり【出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】より
小松菜に含まれるβーカロテンとビタミンCは抗酸化作用が非常に強く、身体を老化させる活性酸素を除去し、細胞から若々しく維持してくれます。またβーカロテンには皮膚の粘膜を健全に守る効果もあり、ビタミンCによってコラーゲン生成も活性化される為、皮膚がつやつやなるだけでなく、ビタミンCには紫外線で発生したメラニンを無色化してくれる効果がある為、シミやそばかすの予防にもなります。
また、小松菜の鉄分、葉酸の効果により赤血球が増えて、血色がよくなり肌が明るくなることも期待できます。また効率よく酸素が全身に行き渡るようになることによって、髪やら爪なども艶やかになることが期待できます。
小松菜の健康にもたらす恩恵は多く、それは肉体だけに留まらずメンタルの健康にまで恩恵をもたらすかもしれません。
小松菜に含まれるβーカロテンやビタミンCによる抗酸化作用により、老化の予防だけでなく細胞のガン化を予防する効果も期待できます。ビタミンB群のエネルギー代謝効果で疲労回復が望めます。また鉄分とビタミンC、葉酸の効果によって貧血改善も期待できますし、食物繊維によって腸内環境の改善が起きます。体内の免疫細胞70%は腸内にいるので、腸内環境を改善することに寄って免疫力の向上も期待できる上、腸内で作られる幸せホルモンのセロトニンの分泌も安定してメンタルの改善も期待できます。
この様に小松菜は様々な健康へ良い恩恵をもたらしてくれます。
小松菜は非常にカロリーが低くダイエット向けの食材と言えます。また小松菜に含まれる栄養素には以下のようなダイエット向けの効果が期待できます。
満腹感を得やすく食べ過ぎを防止してくれる。また腸内で作られる短鎖脂肪酸には脂肪細胞が脂肪を取り込むのを抑制する効果があることが知られています。この為、食物繊維によって腸内環境が改善すると短鎖脂肪酸がより効率よく作られダイエットに効果的です。
体内の余分な水分を排出することによってムクミの改善が期待できます。
余分な脂肪を分解してミトコンドリアでエネルギーにする為の運搬にカルニチンが必要になります。このカルニチンは主に肝臓や腎臓でアミノ酸を主原料にして作られますが、その際にビタミンCも必要になります。
カルシウムは骨を丈夫にするだけでははく、脂肪の代謝に関わっていると言われ、カルシウムが不足すると身体は脂肪を貯えようとします。この為、小松菜などから積極的にカルシウムを摂取することはダイエットにおいて必要なことなのです。
秘められた小松菜のすごい栄養素ですが気を付ける調理のポイントがあります。
実は小松菜は豊富なカルシウムを有するのに、その吸収を邪魔する栄養素であるシュウ酸やリンも一緒に小松菜に入っています。その為、カルシウムを効率よく吸収する為に、きのこや魚介類に含まれるビタミンDと一緒に摂取するようにしましょう。
水に溶けだしてしまうビタミンC、その栄養素を逃さない様に、みそ汁などの汁物にしたりスムージーにして、そのまま摂取するか、電子レンジを活用して、せっかくのビタミンCを無駄なく摂取するようにしましょう。
吸収が難しい小松菜の非ヘム鉄を効率よく吸収する為に、動物性たんぱく質やビタミンCなど鉄分の吸収を助ける栄養素を一緒に摂る様に心がけましょう。
βーカロテンは油に溶けだす脂溶性のビタミンです。この為、油を使って炒めることによって、より栄養素を身体に吸収させやすくなります。またみそ汁にする時は一緒に具材として油揚げを入れてあげるとβーカロテンの吸収を助けてくれます。
以上の4つのコツを意識して調理して食べてあげれば、小松菜の栄養素を残さず摂って、より健康になれるでしょう。
江戸時代に徳川吉宗公によって見出された小松菜には、歴史的な由来から美容と健康に寄与する豊富な栄養素を含み、低カロリーでダイエットにも適しています。
特に、小松菜に含まれる抗酸化作用の強いβーカロテンやビタミンCが肌を若々しく保ち、鉄分や葉酸は血色を良くし、食物繊維は満腹感を提供し、腸内環境を改善して健康だけでなくダイエットにも効果が期待できます。
小松菜を適切な調理法と摂取方法を意識することで、小松菜の栄養素を最大限に引き出して、よりこの小松菜の驚くべき健康効果を享受するようにしましょう。
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