ごはんのお供の中でも人気の「佃煮」は、江戸時代から今日まで、日本の食卓において幅広い年代に親しまれてきました。時代の変化とともに、土地ごとの名産品や風土を生かしたご当地佃煮も登場し、その種類は増え続けています。そこで今回は、佃煮の変わり種を見ていきましょう。それぞれの特徴や食べられている地域についても解説するので、ぜひ最後までお読みください。
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変わり種の佃煮をご紹介します。あまり見かけることがないものをピックアップしたので、気になるものがあればぜひチェックしてみてください。
沖縄では、ゴーヤを甘辛く調理した、ゴーヤの佃煮が広く食べられています。きび砂糖や黒砂糖、醤油、いりこなどと一緒に細切りにしたゴーヤを煮込み、水分が飛んだら白いりごまをまぶします。苦味が軽減して食べやすくなるので、ゴーヤの苦味が苦手な方にもおすすめです。おつまみにするときは、ラー油をかけてみましょう。
細かく切ったセロリの葉と茎を使った佃煮も、変わり種として人気です。全国的に生産されていますが、特にセロリの生産地として有名な信州地方で多く作られています。ほどよく残したシャキシャキ食感と、セロリ特有の爽やかな風味が甘辛味とよく合い、ご飯がどんどん進むと評判です。仕上げに、細切りにした昆布を絡める場合もあります。
長野県の南州地域には、古来より昆虫食文化が根付いています。そのため佃煮も例外ではなく、洗ったイナゴを甘露煮や佃煮に加工し、保存食として重宝しているのです。また、イナゴの佃煮をおやきに加えたり、ソフトクリームにトッピングした「イナゴソフト」が食べられていたりなど、長野県の昆虫食文化は、現代でも形を変えつつ継承されています。
少し大人な味わいの佃煮をお探しの方には、山椒の花や実を使った佃煮がおすすめです。兵庫県を代表する郷土料理の一つで、朝倉山椒や有馬山椒を使用します。白ごはんのお供にもぴったりですが、お茶漬けに加えるとちょうど良いアクセントになり、ついかき込んでしまいたくなる美味しさです。煮物を煮るときに入れたり、和風パスタにトッピングしたりしても、爽やかな風味がプラスされます。
貝類の佃煮といえば、アサリやハマグリをイメージする方が多いと思いますが、島根県ではシジミの佃煮が広く食べられていることをご存知でしょうか。島根県にある宍道湖はシジミの産地として有名なので、シジミの佃煮は宍道湖周辺の地域で購入できるお土産品としても人気です。宍道湖で獲れたシジミならではの旨みと、出雲産の醤油は相性抜群で、おつまみにもぴったりだといわれています。
きのこがよく採れる九州地方や信州地方では、きのこを佃煮にして食べる習慣があります。椎茸の佃煮はよく知られていますが、他にも舞茸やしめじ、平茸など、多くの種類のきのこが原材料になっているため、それぞれの旨味や食感の違いを楽しむのも楽しいでしょう。
北海道や東北で親しまれている三升漬けは、青なんばん(青唐辛子)、麹、醤油の3つの材料を、それぞれ一升ずつ使用した佃煮です。麹を使って甘味を出しているので、まろやかな味わいのファンになる人が後を断ちません。また具材は、大根や白瓜を細かく切ったものが主流です。ご飯のお供にはもちろん、料理のアクセントに添えたり、ジンギスカンの薬味にしたりして楽しまれています。
本記事では、変わり種の佃煮をご紹介しました。日本には、その土地土地の特徴や特産品を活かした佃煮がたくさん存在します。その土地に出向くことは難しくても、ネット販売や物産展で見かけたときは、ぜひお試しください。
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