縄文の頃から食べられていて、税として納めていた時期もあった「海苔」。それもそのはず、海苔には健康に役立つ4つの効果があります。今回はその健康効果、「身体づくり」「健康維持」「腸内環境」「疲労回復」に焦点を当てて解説していきます。
美味しいご飯が更に美味しくなる「海苔」。それは海苔に含まれるうま味成分のおかげ。実は海苔にはうま味成分である「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」3つが含まれています。
うま味成分は単体で多く含まれているより、複数を掛け合わせた方がより多くうま味を感じます。グルタミン酸とイノシン酸を掛け合わせるとうま味が7~8倍増えるとも言われます。(かつお節と昆布の合せ出汁など)またグルタミン酸とグアニル酸の組み合わせでもうま味が強化されます。
そんなうま味が最初から3つとも揃っている「海苔」は本能的に美味しく感じてしまう食材です。
紙のように薄い海苔ですが、豊富なうま味の他に、様々な栄養素を持っており、それによる健康効果は非常に厚い物になっています。
海苔は海藻ですが実は100g当たり41gもたんぱく質を含んでいます。たんぱく質豊富なイメージのある鶏むね肉で100g当たり25gなので、鶏むね肉の1.6倍以上のたんぱく質を含んでいます。
また海苔にはカルシウムも非常に豊富で100g当たり280mg含んでおり、その値は牛乳の2倍以上、イワシの4倍弱に相当します。
身体を構成する筋肉を作るたんぱく質も、骨を作るカルシウムも非常に豊富なスーパーフードだったりします。
海苔には健康維持に必要なビタミンやミネラルも豊富に含まれています。それぞれの役割をご紹介します。
その全体の30%が食物繊維な海苔。食物繊維は便のかさを増し便通をよくするだけでなく、善玉腸内細菌のエサになり、腸内環境を良好にします。昨今の研究により免疫細胞の70%は腸内にいることが分かっており、身体全体の免疫と腸内とが密接に関係していると知られています。
また、腸内で食物から吸収されたトリプトファンは、血液に乗って脳に入ると幸せホルモン「セロトニン」に変化します。この様に、海苔などから食物繊維をしっかり摂って腸内環境を整えると、便通のみならず、免疫も心も整えることが期待できます。
なお、よく日本人しか海苔などの海藻を分解できないという話がありますが、それはこの食物繊維のこと。ただし、食物繊維は熱を加えると消化しやすくなるので、一般的に売られている海苔の佃煮や焼海苔はだれでも大丈夫。ただ生海苔の場合は消化が悪いので食べ過ぎには注意しましょう。
海苔には疲労回復に効果のあるタウリンが含まれています。その量は100g当たり1200mgで、タウリン豊富と言われるタコと同等の含有量を誇ります。
タウリンの疲労回復メカニズムは、摂取によって筋肉内の疲労物質を排除し、タウリンの持つ抗酸化作用によって細胞の酸化ストレスを軽減することによって成ります。
またタウリンには運動時に体脂肪を燃焼させるのにも効果が期待できます。
実はあります。非常に健康に良い栄養豊富な「海苔」ですが、過剰摂取は禁物。前述で「甲状腺ホルモン」を作るのにヨウ素が必要と書きましたが、過剰にヨウ素を摂るのを続けると「甲状腺機能低下症」という病気になる恐れがあります。
ただし、過剰に心配しすぎる必要もありません。日本の食事安全基準における1日のヨウ素の摂取上限は3000㎍(男女共通)。対して海苔には100g当たり2100㎍含有していますが、板海苔1帖1枚でおよそ3g(ヨウ素量63㎍)、つまり計算上は3000÷63=47.6…
となりますので、1日に48枚以上海苔を食べなければ平気です。ただし、海苔に限らず海藻類(昆布やヒジキなど)や鶏卵、牛乳にもヨウ素が含まれています。またサプリメントにもヨウ素が含まれている場合もありますので、注意しましょう。
古代から愛され続けた「海苔」。あの薄い一枚の中にとっても厚い栄養が含まれていることが分かりました。過剰に摂るのは良くないのは、どんな健康食材でも一緒ですが、普通に食べている分にはほぼ基準値を超える心配はないので、日々の食事に海苔を取り入れていきましょう。
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