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「海苔」の4つの健康パワー

愛され続けてきた「海苔」

 縄文の頃から食べられていて、税として納めていた時期もあった「海苔」。それもそのはず、海苔には健康に役立つ4つの効果があります。今回はその健康効果、「身体づくり」「健康維持」「腸内環境」「疲労回復」に焦点を当てて解説していきます。

 

うま味成分そろい踏み

 美味しいご飯が更に美味しくなる「海苔」。それは海苔に含まれるうま味成分のおかげ。実は海苔にはうま味成分である「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」3つが含まれています

 

  • グルタミン酸:主に昆布やトマトなどに含まれるうま味成分でアミノ酸の一種
  • イノシン酸:主に魚介類や畜肉に含まれるうま味成分。新鮮な物には少なく、熟成が進むに連れて増えていく。代表的な食材はかつお節や煮干し
  • グアニル酸キノコ類に含まれるうま味成分。生のきのこより干したきのこの方が多い。代表的な食材は干し椎茸

 うま味成分は単体で多く含まれているより、複数を掛け合わせた方がより多くうま味を感じます。グルタミン酸とイノシン酸を掛け合わせるとうま味が7~8倍増えるとも言われます。(かつお節と昆布の合せ出汁など)またグルタミン酸とグアニル酸の組み合わせでもうま味が強化されます。

 そんなうま味が最初から3つとも揃っている「海苔」は本能的に美味しく感じてしまう食材です。

 

 

実は超健康フード「海苔」

 紙のように薄い海苔ですが、豊富なうま味の他に、様々な栄養素を持っており、それによる健康効果は非常に厚い物になっています。

 

身体づくりに

 海苔は海藻ですが実は100g当たり41gもたんぱく質を含んでいます。たんぱく質豊富なイメージのある鶏むね肉で100g当たり25gなので、鶏むね肉の1.6倍以上のたんぱく質を含んでいます。

 また海苔にはカルシウムも非常に豊富で100g当たり280mg含んでおり、その値は牛乳の2倍以上、イワシの4倍弱に相当します。

 身体を構成する筋肉を作るたんぱく質も、骨を作るカルシウムも非常に豊富なスーパーフードだったりします。

 

 

健康維持に

 海苔には健康維持に必要なビタミンやミネラルも豊富に含まれています。それぞれの役割をご紹介します。

ビタミン

  • ビタミンA海苔1枚に1日に必要なビタミンAの1/5が含まれています。ビタミンAは視力の維持の他に、目や皮膚の粘膜を健全に保ち、抵抗力を高める効果があります。
  • ビタミンB:海苔には糖質や脂質をエネルギーに変えてくれるビタミンB1・B2が含まれています。この為、おにぎりの様にご飯と一緒に摂取すると効率よくエネルギーに変わります。またビタミンB群の一つで細胞分裂に必要な葉酸や、血液生成に必要なビタミン12も海苔には豊富に含まれています。
  • ビタミンC:海苔には100g当たり210mgのビタミンCが含まれており、実はレモンの2倍以上のビタミンCを含んでいます。ビタミンCは非常に強力な抗酸化作用があり、細胞を紫外線などのダメージから軽減してくれています。また一般的に熱に弱いビタミンCですが、海苔のビタミンCは熱に強く、その健康効果は佃煮などにしてもあまり変わりません。

ミネラル

  • 鉄分:血液を作るのに必要な鉄分。そんあ鉄分が海苔には100g当たり11.4mgと、鉄分豊富なレバーが100g当たり4mgなので、およそ3倍の量の鉄分を含んでいます。
  • ヨウ素:甲状腺で作られる甲状腺ホルモンの主原料です。甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進し、子供の身体の成長や、大人の脳の健康を維持しています。

 

腸内環境に

 その全体の30%が食物繊維な海苔。食物繊維は便のかさを増し便通をよくするだけでなく、善玉腸内細菌のエサになり、腸内環境を良好にします。昨今の研究により免疫細胞の70%は腸内にいることが分かっており、身体全体の免疫と腸内とが密接に関係していると知られています。

 また、腸内で食物から吸収されたトリプトファンは、血液に乗って脳に入ると幸せホルモン「セロトニン」に変化します。この様に、海苔などから食物繊維をしっかり摂って腸内環境を整えると、便通のみならず、免疫も心も整えることが期待できます。

 

 なお、よく日本人しか海苔などの海藻を分解できないという話がありますが、それはこの食物繊維のこと。ただし、食物繊維は熱を加えると消化しやすくなるので、一般的に売られている海苔の佃煮や焼海苔はだれでも大丈夫。ただ生海苔の場合は消化が悪いので食べ過ぎには注意しましょう。

 

 

疲労回復に

 海苔には疲労回復に効果のあるタウリンが含まれています。その量は100g当たり1200mgで、タウリン豊富と言われるタコと同等の含有量を誇ります。

 タウリンの疲労回復メカニズムは、摂取によって筋肉内の疲労物質を排除し、タウリンの持つ抗酸化作用によって細胞の酸化ストレスを軽減することによって成ります。

 またタウリンには運動時に体脂肪を燃焼させるのにも効果が期待できます。

 

 

注意する点はないの?

 実はあります。非常に健康に良い栄養豊富な「海苔」ですが、過剰摂取は禁物。前述で「甲状腺ホルモン」を作るのにヨウ素が必要と書きましたが、過剰にヨウ素を摂るのを続けると「甲状腺機能低下症」という病気になる恐れがあります。

  • 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの分泌量が減少し、それに伴って「疲労感」「眠気」「物忘れ」「皮膚の乾燥」「脱毛」「むくみ」「体重の増加」「便秘」など様々な症状が現れます。

 ただし、過剰に心配しすぎる必要もありません。日本の食事安全基準における1日のヨウ素の摂取上限は3000㎍(男女共通)。対して海苔には100g当たり2100㎍含有していますが、板海苔1帖1枚でおよそ3g(ヨウ素量63㎍)、つまり計算上は3000÷63=47.6…

 

 となりますので、1日に48枚以上海苔を食べなければ平気です。ただし、海苔に限らず海藻類(昆布やヒジキなど)や鶏卵、牛乳にもヨウ素が含まれています。またサプリメントにもヨウ素が含まれている場合もありますので、注意しましょう。

 

 

まとめ

 古代から愛され続けた「海苔」。あの薄い一枚の中にとっても厚い栄養が含まれていることが分かりました。過剰に摂るのは良くないのは、どんな健康食材でも一緒ですが、普通に食べている分にはほぼ基準値を超える心配はないので、日々の食事に海苔を取り入れていきましょう。

 

城戸憲司

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