秋になってくると出てくる鮮やかな緑色の柑橘でよく似た二つ果実である「かぼす」と「すだち」。柚子(ゆず)やライムと同じ香酸柑橘類(こうさんかんきつるい)といって、その分類名の通り「香り」と「酸味」のアクセントとして、古くから愛されてきました。→柚子の健康効果のブログはこちらから
実はそんなこの2つの柑橘には「抗酸化」「疲労回復」「血行促進」「アレルギー抑制」「ダイエット」「リラックス」「減塩」「高血圧予防」の8つの健康効果が期待できます。この記事ではそれぞれの違いを説明をしつつ、その栄養素や効能も併せて解説していきます。
九州の大分県の特産品である「かぼす」。かぼすの始まりは江戸時代初期の元禄8年(1695年)に医者の宗玄が京都から大分県に苗を持ち帰って薬用として育てたのが始まりと伝わっています。名前の由来は、かぼすの皮を燻して蚊よけに使っていたことから「蚊いぶし」→「かぶし」→「かぼす」に名前が変化していったと言われてます。
カボスの特徴は以下の通り
かぼすの旬は9月~10月で、この時期のかぼすは非常に香り高いです。成熟して黄色くなっていくと酸味がマイルドになります。。
四国の徳島県の特産品の「すだち」。その名の通り「お酢」の代わりに使われていた。文献では宝永3年(1706年)に本草学者の貝原益軒(かいばらえきけん)が発行した「大和本草」という本に「リマント云ウ物アリ、柑ノ類ナリ、味不好只切テ酒ノ肴トス、大サハ柑ノ如、味酸シ」とあり、この「リマン」として紹介しているのが「すだち」だと言われている。(福岡を中心に栽培されている「木酢」という柑橘という説もあり)
すだちの特徴は以下の通り
すだちは9月上旬が最も香り高い時期になります。
それぞれを比較すると、「かぼす」は実が大きく酸味はマイルド、「すだち」は実が小さく酸味と香りが高いという違いがあります。それぞれ好みや料理に合わせて使い分けて活かしていきましょう。
かぼすとすだちには、次の7つの健康効果が期待できます。「抗酸化」「血行促進」「疲労回復}「アレルギー抑制」「ダイエット」「リラックス」「減塩」それぞれ順番に栄養成分についても含めてご紹介しましょう。
「かぼす」も「すだち」も共に柑橘なので、ビタミンCがたっぷり含まれています。ビタミンCには非常に強い抗酸化効果があり、老化の防止や動脈硬化の予防に効果があります。また細胞の代謝にも働きかけするので、皮膚を健康に保って美肌効果や免疫力の向上にも効果が期待できます。
またビタミンCはカルシウムの吸収を助ける効果もあります。それなのでシシャモなど骨ごと丸々1匹魚を食べる時に、かぼすやすだちの果汁をかけてから食べることに寄って、カルシウムの吸収を促進してくれ、健康な骨格を維持することを助けてくれます。
疲労回復に効果のあるクエン酸も豊富です。クエン酸は疲労の原因になる老廃物の「乳酸」や「ピルビン酸」を燃焼する他に、血行を促進・改善する効果、抗酸化作用による老化の防止にも効果があります。
かぼす、すだちの両方に含まれているミネラルの一種であるカリウムには、体内の塩分由来のナトリウムを排出してくれる効果があります。ナトリウムが体内多いと体内の濃度を一定にしようと多くの水分が体内に取り込まれて、結果、血管内の水分が増えて圧力が増す高血圧や、むくみの原因になります。カリウムによってこの原因であるナトリウムが排出されることによって、高血圧の改善や予防、むくみの改善が期待できます。
柑橘の皮に多く含まれるポリフェノールの1種で、柑橘の独特の苦みの素です。ナリジンの効果は食欲抑制効果、血中の脂肪酸を分解し血栓を溶かし血管を丈夫にします。
またアレルギーの抑制効果、ポリフェノールの効果として有名な抗酸化によって細胞を傷つける活性酸素を除去してくれます。
柑橘に多く含まれる爽やかな香りがする精油成分で、香料としても利用されています。その効果は身体の免疫細胞を活性化し、神経細胞を正常化することによるリラックス効果、代謝をアップし、食欲を抑えてダイエットにも効果的と言われています。
こちらはすだちにだけ含まれるポリフェノールの1種。抗酸化作用を持っていて細胞の老化を防ぎ、がんの予防にも効果があると言われています。またスダチチンには脂質をエネルギーに変える代謝効果があり、肥満予防効果も期待できます。
大分県ではかぼすの果汁をみそ汁に入れることによって、使う味噌の量を減らし、徳島県では刺身などに使う醤油にすだちを入れた「すだちしょうゆ」を使うことによって、塩分摂取を減らして、健康に優しい減塩効果を得られています。
人にもよい「かぼす」と「すだち」ですが、最近では養鶏やぶりの養殖において、飼料(エサ)にそれぞれの果汁を混ぜ込むことにより、風味を上品にし、臭みを無くし、抗酸化の効果も確認されているそうです。
鳴門海峡の西側に位置し、潮の流が速く、非常に水質が良い、飼育に適した環境に加え、徳島県産すだちの果皮を添加した配合飼料(EP)で育てられたブリは、一般の養殖ブリに比べ、ビタミンEが多く含まれており、抗酸化作用が確認されております。さらに、さっぱりとした風味、引き締った身、きめ細やかな肉質が特長です。さわやかなすだちぶりの風味を、ご堪能ください。
カボスやスダチは常温でも2週間程度は保存が可能です。しかしその場合、徐々に追熟が進み実が緑から黄色く変化していきます。それに伴い酸味はマイルドになり、爽やかな香りも減っていってしまいます。もしたくさんのカボスやスダチがある場合は常温保存は避けた方が良いでしょう。
2週間程度で使い切るのであれば冷蔵庫の野菜室で保存するのがお薦めです。買ってきた実をきれいに水洗いしてからペーパータオルなどを使って水気を切り、乾燥予防にペーパータオルで包んでポリ袋に入れて保存しましょう。その時に傷がある実があると、そこから傷みが広がり、他の実も悪くする要因になるので、気が付いたら取り除くようにしましょう。
大量にあってすぐに使い切れない時は冷凍保存がお薦めです。冷蔵保存の時同様にきれいに水洗いしてから水気を切り、フリーザーバックに入れて冷凍します。
この時に解凍後すぐに使いたい時は、実を半分にカットして冷凍保存すれば解凍後5分くらいで料理に使うことが可能です。ただし、カットしてある分、切り口から水分がどんどん抜けていってしまうので、保存期間が短くなります。
実をまるごと冷凍する場合は、料理に利用する為には10分くらい解凍すれば包丁で切れるようになります。この時あまり溶かし過ぎると包丁で切りにくいので注意しましょう。冷凍の場合はカットか丸ごとかで異なりますが、概ね3週間から1か月程度で使い切るようにしましょう。
また果汁を絞って、その果汁を製氷皿などで凍らせて保存することも可能です。この場合1個ずつの果汁氷を溶かして適宜料理に使えるというメリットがあります。
秋の柑橘である「かぼす」と「すだち」、2つの果実の特徴を比べると、大きくまろやか酸味なのが「かぼす」、小ぶりで酸味も香りも強いのが「すだち」。どちらも8月から収穫が始まり、9月頃が香り高く一番の旬を迎えます。
それぞれの果実にはビタミンCやクエン酸、ポリフェノールの力による「抗酸化」、柑橘に含まれるクエン酸による「疲労回復」、カリウムによる「高血圧&むくみの改善」、クエン酸とポリフェノールによる「血行促進」、ポリフェノールによる「アレルギーの抑制」、リモネンやポリフェノールによる食欲を抑えて「ダイエット」、リモネンによる神経細胞の正常化で「リラックス」、調味料に果汁を加えることによる「減塩」の7つの健康効果があります。
この秋、せっかくフレッシュな「かぼす」や「すだち」が出回るので、さんまの塩焼きなどの魚を食べる時にはもちろん、飲み物や汁物、お鍋に使うポン酢、おさしみの醤油にと様々な食材との組み合わせて活用していきましょう。
最後に使い終わった皮は入浴剤としてもご利用できます。ただし、かぼすやすだちに限らず、柑橘類には皮膚が紫外線を吸収しやすくしてシミなどの原因になるソラレンという成分が含まれていますので、日中の入浴ではなく、太陽に当たらない就寝前の入浴に使用するようにしてください。
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