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おはぎ?ぼたもち?その違いと文化と小豆に含まれる栄養効果について お彼岸2024

日本独自文化「お彼岸」と「おはぎ(ぼたもち)」

 お彼岸は「春分の日」と「秋分の日」を真ん中にして、前後に3日間ずつの合計7日間の期間を指します。2024年(令和6年)であれば春彼岸は3月17日(日)~23(土)まで、秋彼岸は9月19日(木)~25(水)までになります。

 

 このお彼岸の時に、よくお供えとしてもちいられる小豆あんの餅菓子。「おはぎ」と呼ばれる場合と、「ぼたもち」と呼ばれる場合があります。この違いは一体なんなのでしょうか?実は一緒のもち菓子なのですが、その呼び名には明確な違いがあります。

 今回の記事には、その違いが何なのか、どうしてお彼岸におはぎ(ぼたもち)が食べらるのか、その文化的理由と栄養的理由をご紹介していきます。

 

おはぎやぼた餅にピッタリの「お茶(新茶)の健康効果」についてはコチラから←

 

 

そもそもお彼岸とは「仏教の考え」より

お彼岸の由来は仏教の教えの「至彼岸(とうひがん)」で、サンスクリット語のpāramitāを漢字に訳したもの。意味は「完全な取得」「完成」などで、それが転じて「煩悩溢れる現世(此岸(しがん))から離れ、悟り煩悩から脱した世界(彼岸)に至る為に積む修業をする事」を意味しています。

 

ちなみに彼岸の元となったサンスクリット語のpāramitāは「波羅蜜多(はらみった)」と当てられ「般若心経」の中にも含まれる文言になります。

 

西方浄土信仰から

平安時代に中国から仏教伝来する際に「西の方角に極楽浄土」があるという考え方も伝来し、太陽が真西に沈む「春分の日」と「秋分の日」は極楽浄土に近づくという考えられました。

 

その極楽浄土が最も近づく時期に「彼岸会」という修業が執り行われ、その修業によって極楽浄土に行けると信じられていました。この修業とそれ以前の古くから行われていたお墓参りや先祖供養が混ざり合って「お彼岸」となりました。

 

この様に海外から入って来た文化と日本で元々あった文化が混ざり合って生まれた「お彼岸」は他の仏教国にはない日本独自の文化です。 

 

 

お彼岸に食べるのは「おはぎ?」「ぼたもち?」

実は両方とも正解です。春彼岸に食べるのが「ぼたもち秋彼岸に食べるのが「おはぎ」。春は春の花である「牡丹」にちなんで「牡丹餅=ぼたもち」、秋は秋の花である「」にちなんで「お萩=おはぎ」と呼ばれています。どちらもお餅を小豆餡で包んだ和菓子です、 また小豆が収穫されるのが秋の為、

  • 秋のおはぎ」:収穫したての皮も柔らかい小豆なので、そのまま粒あんにし、細長い花びらを持つ萩の花ように俵型にした餅を包んだもの。
  • 春の「ぼたもち」:春まで貯蔵された小豆は皮が固くなるので、あんを濾して皮を取り除いたこしあんを作り、それを牡丹の花の様に丸くした餅を包んだもの。

という違いがあります。ただ通年で販売されている物は「おはぎ」と表記されていることが多くなっています。

 

また以前は特定の時期にしか、おはぎ(ぼたもち)が販売されていなかった時代もありますが、近年、洋菓子のようにバターなどの脂肪分を使わないおはぎ(ぼたもち)の方が、食べても太りにくいとダイエットの観点からも人気のスイーツとなっており、一年中売り場に並ぶようになりました。

 

 

 

お彼岸にあんこを食べる理由はなぜ?

それではなぜお彼岸に小豆あんを食べるのでしょうか?その理由を解説いたします。実は古くより小豆の赤い色には「邪気を払う」という効果があると信じられていました。その為、日本の様々な行事の際に小豆は使用されています。例えば1月15日の小正月で食べられる「あずき粥」、慶事で食べれれる「お赤飯」などがその代表です。

 

また昔は「砂糖」が高級品だったので、それをたくさん使った「おはぎ(ぼたもち)」を先祖にお供えすることで経緯を表すという意味でお彼岸を代表するお菓子になりました。

 

ただ、今では赤色=邪気を払うという理由も薄れて小豆だけのおはぎ(ぼたもち)だけではなく、ゴマやきな粉と様々な種類のおはぎ(ぼたもち)も楽しまれています。

 

 

 その他に、お彼岸に食べられる食べ物もご紹介致します。

 

お彼岸に食べらえる物1:精進料理

仏教において殺生は禁じられているので、肉類魚類を使わない精進料理がお彼岸には煩悩を払う修業の一環として召し上がられます。また天ぷらも肉や魚を使わず野菜だけで作った「精進揚げ」にして召し上がります。

 

 

お彼岸に食べられる物2:お赤飯

基本的にお祝い事の時に食べれる食べ物ですが、地域によってはお彼岸時期に食べられます。これはおはぎやぼたもちが選ばれた理由と一緒で小豆に邪気を払うという効果があると信じられていた為です。

 

 

お彼岸に食べられる物3:彼岸そば・彼岸うどん

そばには「五臓六腑の汚れを清める」と信じられていて「身を清めて先祖を供養する」と食べれる風習もあるそうです。またうどんは「運どん」とも呼ばれ先祖の「運」にあやかろうと食べられるそうです。

 

 

この様に、お彼岸ではおはぎの他に、料理に小豆を取り入れたり、殺生を禁じる仏教の観点から精進料理を食べたり、縁起を担いだりする食材を使って食事をすることがあります。

 

小豆の健康効果

小豆が邪気を払うは古くから信じられてきたことですが、実際に小豆には様々な体の健康に良い栄養素が豊富に含まれていて様々な効能があります。

  • 食物繊維:小豆に含まれる食物繊維は善玉腸内細菌のエサになり、腸内環境の改善に効果があります。また食事中の脂肪分を排出する効果もあります。
  • ポリフェノール:植物が作る抗酸化作用のある化合物。細胞の酸化を抑制して老化の予防などに効果が期待できる。小豆のポリフェノール量は赤ワインの1.5倍の量が含まれている。
  • カリウム:体内にある過剰なナトリウムを排出することに寄って、血管内の濃度を下げ、結果血圧を下げる
  • ビタミンB1:糖質をエネルギーに変える酵素。ビタミンB1によってエネルギーが効率よく作られることに寄って、疲労回復が期待できる。
  • ビタミンB2:こちらもエネルギーを作り出す酵素、ビタミンB1と違って脂質をエネルギーにする。また細胞の再生にも寄与している。
  • ビタミンB6たんぱく質の分解に必要な酵素。また免疫機能を正常に保ち、赤血球の生成にも寄与している。
  • サポニン:血中のコレストロールや中性脂肪を減らし、血糖値の上昇も抑制する。また動脈硬化の予防にも効果が期待される。
  • 鉄分:鉄分を摂取することによって、効率的に赤血球が生成され貧血の予防に効果がある。

 

お彼岸おはぎ、ぼたもちまとめ

お彼岸で出されるあんこ菓子は、春彼岸では春の花の牡丹にちなんで「牡丹(ぼた)餅」、秋彼岸で秋の花の萩にちなんで「お萩(はぎ)」と呼ばれ呼び方が異なるだけで同じ物でした。

 

お彼岸におはぎ(ぼたもち)を食べる理由は、小豆の赤い色が魔除けになるという考えが元でしたが、実際に小豆には腸内環境を改善する食物繊維、抗酸化効果が期待できるポリフェノール、エネルギー代謝を推進してくれ疲労回復にも貢献してくれるビタミンB1、B2などと様々な健康効果があることもわかってきています。

 

またケーキなどの他のスイーツに比べておはぎは脂質が少なく食物繊維多いのでダイエット目的でもおはぎ(ぼたもち)の人気が高まってきております。

 

お彼岸のお墓参りや先祖供養には「おはぎ」の他に故人の好きなものを備え、我々はそれを一緒に戴いて「小豆の力」を戴いて、元気に一年を過ごしましょう。

 

ただし、当然ながら健康に良いとは言ってもお菓子なのでカロリー過多になって太らない様に、食べ過ぎには重々気を付けてください。

 

城戸憲司

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