7~9月と夏が旬の冬瓜(とうがん)、ウリ科の夏野菜で普通サイズで約30cmくらい、重さが1個あたり3~5kgと非常に大きな瓜ですが、最近は使い切りやすい2kg程度のミニ冬瓜も多くスーパーにも出回るようになりました。
冬瓜の原産はインドなどの熱帯アジアや東南アジアと言われ、3世紀頃に中国へ、5世紀頃(奈良時代から平安時代)に日本に仏教とともに伝来しました。その当時の正倉院文書にも「冬瓜」の記述があり、それは中国語をそのまま記載した模様です。ちなみにトウガンと言う読み方は中国語の発音の「冬瓜(ドォングァDōngguā)」が訛ったものと推定されます。
それではなぜ中国で夏野菜なのに「冬瓜」と名付けられたのでしょう?その理由は冬瓜の保存性です。冬瓜は皮が分厚く硬いため傷が付きにくく「しっかり冷暗所で管理すれば冬まで保つ瓜」ということから暑い季節の野菜なのに「冬」の字を冠する夏野菜になりました。
冬瓜は夏の強い日差しを受けて育つので、日差しに負けない様に多くの栄養素が冬瓜に含まれます。
冬瓜100gあたりのビタミンCは39mg(茹でると27mg)、ビタミンCの代表格であるレモン果汁が100gあたり50mgなので、かなり豊富に含まれているのが分かります(文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)(レモンは全果だと100gあたり100mg)
ビタミンCは、夏の紫外線で傷ついた皮膚の素であるコラーゲンの生成を助けます。またビタミンCには、非常に強力な抗酸化効果があるので、細胞の酸化による老化リスクを軽減してくれます。
冬瓜には100gあたり200mgのカリウムが含まれております(茹でても変化なし)。過剰に塩分を摂ると血液の濃度が濃くなってしまうのを、一定に保つ為に水分が多く取り込まれ、結果血管内の圧力が高くなる高血圧になりますが、カリウムを摂ると、体内のナトリウムを排出するのを助け、それにともなって濃度が薄くなり水分も排出されて血圧が下がることに寄与してくれます。
冬瓜にはサポニンも含まれます。サポニンは水に溶かして混ぜると細かい泡ができることからラテン語のサポ(石鹸)から名付けられた天然の界面活性剤で、腸内で吸収されたブドウ糖と脂肪酸が合わさるのを防ぎ、それにより脂肪の蓄積を阻害してくれます。
良い冬瓜の選び方は、表面にブルームと呼ばれる白い粉が付いている物。この粉は汚れではなく冬瓜内部の水分が蒸発してしまうのを防いでくらる物で、白い粉が付いている冬瓜の方がみずみずしいです。また特に新鮮な冬瓜ですと表面にうっすら毛が生えています。これは収穫してから時間が経過すると取れてしまうので、表面にうっすら毛が残っている冬瓜は特に鮮度が良い物です。
スーパーなどでカットされて販売されている冬瓜は、表面が白くみずみずしくずっしるする物、種がしっかり詰まっている物が新鮮です。ただし切り口から劣化していきますので、カットされて販売されている冬瓜はなるべく早く調理しましょう。
丸ごと冬瓜の見極めるポイント
カットされた冬瓜の見極める追加ポイント
せっかくですから見極めポイントを押さえて、鮮度の良い冬瓜を料理しましょう。
うっすら生えた冬瓜のとげ
果肉は柔らかく淡白でくせもないのが特徴です。豊富なビタミンCは水に溶けだしやすい栄養素なので、スープにしたり、あんかけにしたりして、煮物料理にすることによって汁ごと摂る事によって余すことなく、その豊富な栄養素を摂ることができます。
冬瓜はその保存性によって暑い夏に収穫される野菜なのに「冬までもつ」と言われて「冬」の一字が入った不思議な夏野菜になりました。以前は3kg以上も重さがある大振りの冬瓜ばかりで、使い切れるか心配でしたが、昨今の品種改良で2kg以下のミニ冬瓜も多く売り場で見かけるようになってきています。
また冬瓜の栄養効果はビタミンCによる抗酸化作用、カリウムによる高血圧予防、サポニンによる脂肪蓄積の予防の他に、その実には食物繊維も豊富なので腸内環境の改善も期待できます。
これからまだまだ旬が続く「冬瓜」これを機会に美味しくいただいて、冬瓜の様に長く冬まで続く健康を得ましょう。
This website uses cookies.