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暑気払いに甘酒を!甘酒の秘密:夏の暑さを和らげる日本の伝統飲料は、どのようにしてあなたの健康を助けるのか?

暑気払いとは

 

 

暑気払い(しょきばらい)とは、夏に冷たい飲み物や食べ物を食べたり、お酒を飲んだりして、体に溜まった熱気を取り除こうとすること。また、その際に行う飲み会や食事会のことです。

 

暑気払いの時期は、一般的に夏至(6月21日頃)から処暑(8月23日頃)までとされています。この時期は、日本で夏の暑さが最も厳しい時期です。暑気払いを行うことで、体に溜まった熱気を取り除き、夏バテを予防することができます。

 

暑気払いによく用いられる飲み物は、冷たいビール、焼酎、日本酒、ウイスキーなどです。また、冷たいお茶や水、フルーツジュースなどもよく用いられます。食べ物は、冷たいそうめん、冷やし中華、冷や奴、お刺身、スイカなどです。

 

暑気払いは、仕事仲間や友人、家族などと楽しむことができるイベントです。暑い夏を乗り切るために、行う行事ですが、その中に隠れた夏の季語と言われる「甘酒」も暑い夏を乗り越えるのに最適の飲み物です。

 

甘酒は夏の季語

 

 

甘酒は古くは奈良時代の「古事記」や「日本書紀」に出てくる天甜酒(あまのたむざけ)がルーツではと言われていて、天甜酒は、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)が、お粥に麹を混ぜて一晩置くと発酵させて甘いお酒を作ったと言われています。その工程から古くは「一夜酒(ひとよさけ)」とも呼ばれていました。

 

その後、平安時代には甘酒を牛乳で割った飲み物が貴族の中で流行し「醍醐」と呼ばれました。現代にも残る「スポーツの醍醐味」などの表現に使われる「醍醐」の語源で、当時は「最高の飲み物」という意味で使われていたようです。

 

現代の様に栄養素を調べることのできない昔から甘酒は体感的に「疲労を回復させる」と知れ渡っていて、特に「夏の疲れを癒す」と江戸時代初期の俳諧にも「甘酒=夏の季語」として扱われていたそうです。

 

江戸の中期から後期にかけては、「一夜酒」と言われるほど手軽に作れる甘酒を、武家の副業として作ったり、甘酒問屋が仕込んだのを、棒手振り天秤で行商する人が増え、一気に一般大衆にも「夏の活力」として認知されていきました。

 

その甘酒売りの姿は明治以降も続いたみたいなのですが、大正の「関東大震災」とその後の戦争で設備が無くなったり、やり手が減ったのと、その後の技術の発展などに寄って甘味が容易に手に入るようになり、いつしか甘酒売りの姿は消えてしまいました。しかし人々の中に「甘酒」は健康に良いと、俳句の世界には「甘酒」は夏の季語として残ってきました。

 

甘酒効果

甘酒は、米麹や酒粕を利用して作った飲み物です。甘酒には、ビタミンB群、アミノ酸、食物繊維、オリゴ糖などの栄養素が豊富に含まれています。そのため、甘酒は、疲労回復、美容、ダイエット、骨粗鬆症予防、便秘解消、冷え性改善など、様々な健康効果が期待されています。

 

実は現在広く親しまれている甘酒には酒粕(さけかす)から作られる「酒粕甘酒」と、麹とお米で作られる「麹甘酒」の2種類があります。それぞれ健康に良い成分はたっぷり入っていますが、特徴が少しずつ異なりますので、ここでご紹介致します。

 

酒粕甘酒

広く一般的に市販で広まっている「甘酒」は「酒粕甘酒」になります。その歴史は古く奈良時代の「万葉集」「粕湯酒(かすゆざけ)」として庶民が飲んでいたと残されています。当時の酒粕甘酒(粕湯酒)はお酒を絞った後に残った酒粕をお湯で溶いて塩を加える物で、ほのかな甘みを塩で引き立てて庶民や下級武士に親しまれてきたそうです。

 

現代の酒粕甘酒は、酒粕を原料に砂糖などを添加して作ったより甘い甘酒です。製法と管理が楽な為に市販で一気に広まりました。酒粕には、ビタミンB群、アミノ酸、食物繊維、オリゴ糖などの栄養素が豊富に含まれています。また、酒粕にはポリフェノールが含まれているため、抗酸化作用が期待できます。

 

ビタミンB群とアミノ酸で活力を、食物繊維とオリゴ糖で腸内環境の改善を、そしてポリフェノールで抗酸化が期待できます。

 

ただし、酒粕の甘酒には1%未満のアルコール分が残っています。アルコールに弱い体質の方、これから運転をするという方は、飲まれる前に気を付けた方が良いかもしれません。どうしても運転前に飲みたい場合は再加熱でアルコール分を飛ばしてしまえば、より安心して摂取できます。

 

 

麹甘酒

麹甘酒は、米麹を原料に作った甘酒です(米麹と炊いたご飯で作る製法もあります)。上記の天甜酒の流れを組む甘酒です。作り方は米麹を一定のお湯で醸して作られます。

 

米麹には、ビタミンB群、アミノ酸、食物繊維、オリゴ糖などの栄養素が豊富に含まれています。また、米麹にはγ-オリザノールという成分が含まれているため、美容効果が期待できます。γ-オリザノールのポリフェノールの一種で、消化管からコレストロールの吸収を抑制し、コレストロール値を抑える効果が期待されます。また自律神経を安定させる効果も報告されています。

 

もちろん酒粕甘酒同様に、体に活力を与え、腸内環境を整え、抗酸化効果も期待できます。

 

ただ、実は酒粕甘酒同様注意点があります。それは麹甘酒は「麴菌」が作ってくれるという点です。当然ですが菌ですので、常温及び空気に触れる状況で放置すると、どんどん麹菌が働いてしまい、本来求める甘酒が変質してしまう可能性があります。その為、スーパーなどで麹甘酒を販売する場合は必ず冷蔵で保存されて変化が起こらないようにしています。それなのでグラスに移した後や開封後は早めに召し上がる事を推奨します。

 

せっかくの栄養成分が変質してしまう前にお召し上がりください。

 

 

暑い夏を甘酒で

日本の夏における「暑気払い」の伝統は、冷たい飲み物や食べ物で暑さを和らげる文化です。特に「甘酒」は夏の季語として重要な役割を担っています。古代から疲労回復や健康促進の飲み物として親しまれ、現代でもその栄養価の高さから多くの健康効果が期待されています。暑い夏を乗り切るために、甘酒を楽しむことは、古くからの日本の文化を味わい、同時に健康を促進する素晴らしい方法です。

 

城戸憲司

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