夏至からおよそ11日後くらいで7月7日までの期間のことで、その時期にカラスビシャク(別名:半夏)が生えることから「半夏生」という行事名になったと言われています。もともとは農作業など夏になる前にある程度目途を立てる為の目安としていて、その頃にそれまでの労働をねぎらうのと、夏に向けて体力をつけるために、様々な食材をたべる習慣が始まりました。
カラスビシャク(半夏)
近年、半夏生が近づくとスーパーでも「半夏生にはタコ」をというポップを見かけることが増えてきましたが、これは関西地方で多く行われてきた食文化で、タウリンが豊富なタコを食べることによって体力の回復を狙ったものです。
うどん県とも自称する香川県では半夏生にうどんを召し上がるそうです。いつから始まったかは定かではないらしいですが、昔、半夏生の頃に農家同士で手伝って麦の収穫や田植えをしていた半夏生の頃に、手伝ってくださった方々にうどんを振舞っていたのが始まりだと言われています。半夏生ではないですが、田植えなどの農作業は近隣同士で手伝って行い、その後振舞い料理がでる文化は全国的にも見られます。
江戸時代に大野藩(現在の福井県大野市辺り)の藩主が、夏バテ防止の為に当時大量に漁獲でき年貢としても収められていた「鯖」焼いて食べる事を推奨したとも、配ったともいわれ、それが発祥で現在でも福井では1人1匹の丸焼さばを半夏生の頃に食べる風習があります。ただ、その藩主についての史実を確認できる史料がないので、詳しくいつ頃から始まったかは定かではないのですが、1854年(安政元年)に大野盆地の地主「野尻源右衛門」が田植えの為に雇っていた農民に「焼鯖料」を渡した記録が残っているので、およそ170年以前には始まっていた食文化です。
関東で夏に向けてスタミナをつけようでイメージするのは「土用の丑の日=うなぎ」ですが、半夏生に小麦餅を食べる風習が関東にもあります。その昔、麦と稲作の二毛作を行っている農家がたくさんいて、ちょうど夏至の頃に収穫できた小麦と前年採れたお米を同量混ぜて餅を作り、半夏生頃に終わった田植えをねぎらいつつ、小麦の収穫とお米の豊作を「小麦餅」を奉納して祈願、食したそうです。
皆さんも半夏生の頃にタコやうどん、焼さば、小麦餅、お好きなスタミナがつく料理で、暑い夏を乗り越えていきましょう。
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